被害者遺族を「カラオケに行こう」と誘う加害者の父
ニューズウィーク日本版 / 2015年12月14日 15時27分
たしかにそのとおりだろう。客観性を失ったマスは、それはそれで危険だ。とはいえ、そこにもまた考えるべきことがある。たとえば本書の巻末にもアメリカの「サムの息子法(犯罪加害者が、自らが犯した罪を題材にして利益を得ることを禁ずる法律)」に関する記述が登場するが、同様の法律は日本にも必要だと私も考えている。
だが、そのことも含め、そもそも少年犯罪を取り巻く現状、そして少年法についてはもっと議論されるべき、そして改正されていくべき問題が多すぎる。文脈から滲み出てくるキリキリとした緊張感のなかで、本書はそんなことを実感させてくれるのだ。
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『「少年A」被害者遺族の慟哭』
藤井誠二 著
小学館新書
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印南敦史(書評家、ライター)
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