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アリババが香港英字紙買収――馬雲と習近平の絶妙な関係

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月14日 17時15分

 実は今年1月15日、習近平は中共中央紀律検査委員会第三回全体会議閉幕に当たって、「私人会所」の取締りを厳しくしろという指示を出している。「私人会所」とはどういうことかというと、党や政府の組織でなく、私人が勝手に団体を作り、富豪のクラブのようなつながりで利益を追求していく行動を指している。

 胡錦濤政権時代、中央司令塔の事務方のトップだったような令計画が「西山会」を作って暴利をむさぼり逮捕されたことは、まだ記憶に新しい(詳細は今年1月1日付けの本コラム<令計画の「西山会」――習近平が批判した「党内利権結託」の正体>)。

 このとき馬雲が浙江省杭州市に作っていた「江南会」も調査の対象になることを、馬雲は事前にキャッチしていた。この「江南会」は2006年に浙江商人8人が発起人となって作った「会所」で、入会費20万元(約400万円)。厳格な入会審査がある。この江南会も西山会同様、捜査の対象になりそうだという情報が入ってきたのだ。

 今年1月21日のダボス会議では、李克強首相に随行して、やはり李克強のスピーチの最前列に陣取っていた馬雲だったが、演台から下りた李克強は、馬雲の顔を見ず、その隣に座っていた企業家代表から握手を始め、立ち去っていった。

 3日後の1月24日、中国国家工商総局はアリババが販売するネットショップ商品の62%以上が偽商品であると発表した。あらゆるネットショップの中で、最低の評価を受けてしまう。続けざま、1月28日に国家工商総局は初めて『アリババ集団に対する行政指導状況に関する白皮書(ホワイト・リポート)』(2014年)を刊行したのである。

 窮地に追いやられ危機を感じ取った馬雲は、変わり身早く、「江南会」を「湖畔大学」に変身させ、私立の「創業者のための大学(専科)」を設立した。入学資格は3年以上創業経験があり、30人以上の規模の企業を経営していた者。今年3月からの開校で、150人が受験し、30人が合格した。学費は3年間で28万元(約500万円強)。


馬雲の「江南会」に「消息不明」になった郭広昌(復星集団CEO)が

 湖畔大学創設メンバーは、「江南会」創設メンバーの8人と同じだ。

 この8人の中に、12月10日から連絡が取れず「消息不明」となった復星集団のCEO郭広昌がいる。郭広昌は、今年11月に北海道上川管内占冠村にある星野リゾートトマムを買収したことで注目された人物だ。

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