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スマホの次はEVに進出―ある中国人起業家の「節操のなさ」の裏にある「一貫性」

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月21日 16時10分

 「EVがほんとうにスマフォのように手軽につくれるのか?」というのは疑問だが、それとは別に自動車の価値あるいは競争力といった点に関して、メカニカルな部分からソフトウェアベースの部分へとどんどん比重が移ってきていると感じられることも増えている。

 たとえば11月のはじめには、トニー・ファデル(iPodの開発責任者、現グーグル傘下のNest経営者)が「バッテリー、コンピュータ(プロセッサのことか)、モーター、それにメカニカルな部分で構成されているという点では、EVもiPhoneもさして違いはない」「難しいのはネットワークとの接続とか自動走行とかに関わる部分」などと話していた。

 また最近も、ネクストEV(NextEV)という上海のEVベンチャーに加わることになったパドマスリー・ウォリアーという元シスコシステムズの女性幹部(元CTO兼戦略責任者)が「自分が責任者として立ち上げる米国の拠点では、まずソフトウェア、人工知能(AI)、ロボット工学、データサイエンスといった分野の人材確保を積極的にやる」などと発言していた。ファデルにしてもウォリアーにしても、既存の自動車業界関係者からみれば「部外者」に過ぎないかもしれない。だが、そんな部外者ならではの新しい捉え方を自動車に対してしている点は共通と思われる。

 EVの分野には、テスラのようにとりあえずは成功例といえるものもある一方で、フィスカー(Fisker Automotive)のような失敗例もある。チャの関わるEVベンチャーがどちらに転ぶかなどは無論わからない。また「ほんとうに難しいのは数十万台、数百万台といった単位で生産・販売するところまで事業をスケールさせることで、それに比べると超高級車を年間数千台つくって売るのはさほど難しいこととはいえない」といった見方もある。

 つまり、スマートフォンに近いノリでEV分野参入というやり方が本当に得策かどうか、といった疑問も残るということだ。ただ、このあたりは政府が国策としてEV普及を後押ししているという中国固有の事情も関係しているのかも知れない。

 なお、2014年創業のファラデイには、すでにBMWやGM、テスラといった各社の出身者など400人ほどの従業員がおり、本拠地のシリコンバレーに加えて独デュッセルドルフや北京にも拠点があるという。また来年初めのCESにはEVのプロトタイプを出展予定だそうだ。

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