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米大学がいちばん欲しいのは「専攻が決まっている学生」

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月27日 8時5分

 まず第1は「授業に貢献し、まさに白熱教室の議論を盛り上げてくれるような人材」です。

 この「白熱教室」という言葉は、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の講義で有名になった日本語なので使ってみたわけですが、まず誤解を解きたいのは、このサンデル教授の講義というのは、私がビデオクリップで見た範囲では、サンデル教授の専売特許でも、ハーバードの特殊な優位性を表しているものでも何でもありません。

 確かに日常的な問題から抽象的な原理原則の話に気づかせるとか、学生の反応に当意即妙なレスポンスができるという意味では、サンデル教授は教育者として優秀な資質を持った教師だと言えると思います。

 ですが、その「教室」が、アメリカの大学教育の水準の中で傑出しているとは思えないのです。こうした授業形式は極めて一般的であり、サンデル教授やハーバードの学生だから可能というものではないのです。

 合格者のSAT 平均点が2400点満点で2250点近辺のハーバードなどのアイビーであっても、1700点台で入れる小規模カレッジや地方州立大学であっても、こうしたスタイルの授業は当たり前になっています。

 宿題に「リーディングアサインメント(Reading Assignment 読書課題)」を提示して、各受講者はそれを読んで内容を把握しつつ自分の立場を決めてくる、それを元に授業では討論に参加する、そんな形式です。

 仮に授業規模が大きすぎて講義の時間内では全員に発言機会を与えられない場合は、その授業とペアになる少人数セッションの受講を義務づけ、助教なども加わって、全員がディスカッションや作業に参加、そこで「ちゃんと課題を読んだか、クラスメイトの議論活性化に貢献したか」をアピールしないと単位は取れない、そんな仕組みです。

 従ってAO としては、応募者の提出した情報を丁寧に調べて「コミュニケーションの能力・意欲」を調べることになります。推薦状から浮かび上がる人物像、エッセイで記述されている人物像などから調べ、さらに必要とあらば面接でチェックするのです。

期待される学生像「専攻がすでに決まっている」

 実は、大学が最も欲しているのはこのタイプです。

 専攻が決まっているとか、関心領域が決まっているというだけでなく、ハッキリと「研究テーマ」を持っている学生、真っ先に合格判定が出るのは、SAT 満点の学生ではなく、このカテゴリの学生です。

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