公立校もアイビーも「ほぼ男女同数」が合格・入学する
ニューズウィーク日本版 / 2015年12月29日 7時55分
例えば女子学生の入学許可に関しては、1970年代まで認められていませんでした(創立直後から共学であったコーネルを除く)。それまでは、例えばハーバードはラドクリフ・カレッジ、コロンビアはバーナード・カレッジという文字通り「姉妹校」である女子大学を併設していて女子学生は「そちらへ」という時代が長く続いていたのです。
ちなみに、70年代に一気に「男女共学(Co-Ed コ・エド)」が実現すると、ラドクリフ・カレッジはハーバードに合併されて、ラドクリフに入学した学生も卒業する時にはハーバードの学士号を得ていきました。
皇太子妃の雅子妃殿下はちょうどその年代に当たりますが、雅子妃より年長であるキャロライン・ケネディ駐日米国大使はラドクリフの卒業生です。一方のバーナード・カレッジは現在でも、コロンビアの姉妹校である名門女子大学としてニューヨークの教育界に大きな存在感を持っています。
そうした「共学化」がされる前のアイビーというのは、白人の男子学生が圧倒的な多数を占める文字通りの「お坊ちゃん学校」でした。彼らの多くは代々がその大学の卒業生という「レガシー枠」でありましたし、各大学に併設された「プレップスクール(Prep School)」という私立進学校から「エスカレーター式」に進学してきた学生も多かったのです。
もちろん、そうした「前世紀のアイビー」も教育内容に関しては一流を目指していましたし、事実そうした中からアメリカを背負うリーダーや、優秀な学者たちは育っています。ですが、それもこれも、白人男性優位という時代の枠組みの中でのことでした。
1970年代以降のアメリカの大学は段階を追って多様な人材を集めていくようになりました。まず、女性の問題があります。70年代から80年代にかけてが「男女共学」の体制の確立期であったとすると、90年代から2000年代は完成期であったと言えます。
現在は、一部の理系専門の大学を除いて、公立大学のほとんどすべてに加えて、アイビーをはじめとする名門私立大学に至るまで、合格者数から最終入学者数に至るまで「ほぼ男女同数」になるというところまで来ています。
この問題に関して言えば、例えばハーバードでは元合衆国連邦財務長官(日本の財務大臣+金融大臣に相当)を務めたローレンス・サマーズ氏が学長を務めていたのですが、サマーズ氏は何を考えたのか「理系の技術者にはやはり女性は不向きだ」などという「大失言」をやらかして、学長のイスを追われています。
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