「団塊、団塊ジュニア、ゆとり」 3世代それぞれの人生の軌跡
ニューズウィーク日本版 / 2016年1月5日 15時20分
戦後71年目の年が明けた。
年頭にあたって、今の日本社会が直面する課題について考えてみたい。その課題とは世代間の分裂だ。
現在の日本社会を形成する代表的な3つの世代(団塊世代、団塊ジュニア世代、デジタル・ネイティブ世代)が、どのような時代を生きてきたかを振り返って比較する、「ジェネレーショングラム」を作成した。
世代とは、同じ時期に生まれ、育った時代環境を共有するグループを指す。世代が違えば、考え方や価値観は異なる。戦後の短期間に激しい社会変化を経験した日本では、とくに世代間の価値観のギャップが顕著だ。
それがもとで世代間に葛藤(断絶)が生じ、社会の様々なトラブルにつながっている。異文化理解ならぬ、異世代の相互理解が必要な時代だ。そのためには、それぞれの世代が生きてきた軌跡を振り返ってみるのが有効な手段だろう。
横軸に年齢、縦軸に時代(年)をとった座標上に、3つの世代の軌跡線を引いてみた<図1>。人数が多い団塊世代(1948年生まれ)、その子どもの団塊ジュニア世代(1972年生まれ)、そしてデジタル・ネイティブ世代(1995年生まれ)だ。図中には、おもな出来事や教育政策などが書き込まれている。縦の点線は、20歳(成人)のラインを示している。
団塊世代が生まれたのは1948年。この年の出生数は268万人で現在の2.7倍もある(厚労省『人口動態統計』)。人口統計上、最も人数が多い世代だ。幼少期は戦後混乱期に重なるが、小学校に上がる頃から日本経済には成長の兆しが見え始める。8歳の時、1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」と謳われ、高度経済成長期に突入した。以後、「イケイケムード」の中で児童期から青年期までを過ごす。自身の成長と社会の成長がピッタリ重なった、幸運な世代だ。
しかし若気の至りに社会成長の追い風が加わったためか、ハイティーンの頃は非行に走って改造バイクを乗り回し(カミナリ族)、大学に入ったら学生運動で大暴れする。最近になって、高齢者の暴力犯罪が激増しているが、ちょうどこの世代にあたる。90年代半ばから最近にかけて、60歳以上の高齢者の暴行犯検挙人数は25.9倍になっている<表1>。当該年齢人口が1.6倍しか増えていないことを考慮すれば、凄まじい増加率だ。定年退職したことで、若い頃の血気が再燃しているのだろうか。
この団塊世代は、中高年期に逆風に遭遇する。50歳になった1998年に日本経済は急激に失速し、年間自殺者数が3万人に達する。その多くがリストラの憂き目にあった中高年、つまりこの世代の男性だった。定年間際の2007年には「消えた年金」が発覚し、翌年にはリーマンショックが起きるなど、老後の生活は幸先の良くないスタートを切る。「暴走老人」の増加は、そんな現状への反発とも受け取れる。
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