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台湾、初の女性総統が誕生するか?――そして中国は?

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月15日 16時0分

「自由日報」にも類似のことが書いてあり、「若者たちの朱立倫氏への支持率は、わずか4.6%」だとのこと。ただし、蔡英文氏への支持率は、データによれば54.62%で、筆者が直接取材した若者たちよりは低い。「若者の90%が支持している」という回答は、それくらいの感覚だ、という情感的なものだと思われる。
  
 理由は「ひまわり運動」に見られるように、北京政府寄りの国民党には見切りをつけ、中国大陸の思想統一に巻き込まれたくないという若者たちの思いがあるからだ。

 筆者が2014年に台湾で行なった若者の意識調査によれば、若者たちが最も嫌う国は「中国」だった。嫌う最大の原因は「イデオロギー」で、「自由と民主」を失いたくないという気持と、「自分たちは台湾人だ」という「本土意識」があるからだ。

 蔡英文氏自身は前回の総裁選において、中台の平和統一を目指す「九二コンセンサス」に反対して「台湾コンセンサス」を唱え、中台貿易に期待する経済人たちの不評を買って敗退したので、今回は「現状維持」を唱えている。しかしそれでも国民党のような北京政府寄りの精神は持っておらず、若者たちの「本土意識」に共鳴するものがある。

蔡英文氏の訪米&訪日は台湾同胞に対する選挙活動

 蔡英文氏は2015年5月末にアメリカを訪問し、10月6日には日本を訪問しているが、これらは蔡政権誕生後の挨拶まわりという意味も多少あるが、実態は在日および在米の台湾同胞に対する選挙活動だったと、在米台湾人が教えてくれた。

 そのため今年に入ると多くの在米台湾人が里帰りをしているが、16日の投票を済ませたら、すぐにアメリカに戻るのだと言っている。

 ただ、今回は蔡英文氏が当選するだろうことがほぼ確実なので、それほど何が何でも帰国しようという人は多くなく、それがプラスに働くのかマイナスに働くのか、逆に不安だとも、もらしている。

中国大陸における報道と中国政府の思惑

 中国大陸では、総統選民意調査に関して、非常に奇妙な調査結果を報道している。

 たとえば、昨年12月28日付の「新華網」は、台湾のYahoo奇摩が3人の総統候補者演説のあとの民意調査の結果を発表したのを引用して、

蔡英文(民進党):36%
朱立倫(国民党):38%
宋楚瑜(親民党):26%

という、中国にとって「うれしい」データだけを選んで公表した。

 また北京政府管轄下の「鳳凰網」は、朱立倫が蔡英文よりも支持率が8%も上だという情報を流している。

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