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【まんが】人間は保守的だから、80対20の法則は活用されにくいが

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月19日 15時12分

 10日働けば、1日の10倍稼げる。友達はみんな等しく大切だから、同じように対応しなければならない。どの問題にもいろいろな原因があるから、ひとつやふたつの要因だけを切り離しても仕方がない。どんなことでも成功する確率はほぼ同じだから、どんなチャンスにも目を向けなければならない。私たちはこう教わってきましたし、それが民主的な社会のようにも思えています。

 利益を上げていない社員や顧客であっても、「目に見えない貢献がある」「将来的に利益を生み出す」などと考えて、対策を講じないのが普通です。そして、それが正しく道徳的であると思われがちなのです。利益を上げている社員や顧客だけを優遇することは、何か非道徳的で不公平なことのように感じられるものです。

『まんがでわかる 人生を変える80対20の法則』より

なぜ法則が活用されないか

 製品、顧客、従業員の20%が、利益の80%を生み出している。これまで実施された詳細な調査によれば、どの企業でも、ほぼこれに近い数値が出ています。残りの80%は利益の20%にしか寄与していないのですから、効率の悪い80%の製品、顧客、従業員が、効率のよい20%の足を引っ張っていることになります。

 ですから効率のよい20%にもっと目を向ければ、会社の利益は何倍にも増えるでしょう。しかし、実際にそうなっているとは言い難いのが現状です。では、利益を追求するはずの企業が、なぜ、20%の利益しか生まない80%の製品を作り続け、20%の利益しか生まない社員を放置しておくのでしょうか。

 一言で言えば、人間は保守的であり、保身を重視するからです。

 80対20の法則に従えば、80%の事業が中止され、工場が閉鎖されたり取引が取りやめになったりする可能性があります。また従業員の80%が解雇されるかもしれません。そしてその中に、あなたがいるかもしれないのです。こういったリスクを背負ってまで企業を改善しようと提案するには、大きな勇気が必要になります。

 実際には、工場は閉鎖されず、より効率のよい製品作りに転用され、人材も適材適所の配置や教育によって有効活用されるのですが、そのことはなかなか理解されないようです。しかし、個人も企業も政府も、より豊かになるためには、80対20の法則を理解し、活用していかなければいけません。

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