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育児も介護も家族が背負う、日本の福祉はもう限界

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月16日 16時30分

 社会が変化したにも関わらず、日本の家族依存型の福祉は変わっていない。近年、児童虐待や介護を苦にした家族間の殺人事件など、家庭内の悲劇がニュースになることが目に付くのも、無関係ではないだろう。

【参考記事】日本人の知的好奇心は20歳ですでに老いている

 昔の家族は、消費のみならず生産(家業)、子育て、介護など、多くの機能を担っていた。ピラミッド型の人口構成で、数世代が同居する大家族が多かった時代では、それも可能だった。しかし現在、家族をめぐる状況は大きく変化した。かつてのように、様々な機能を家族が一手に担うことは困難になっている。

 児童保育や高齢者介護など、日本の福祉は家族(私)依存型の性格が強い。しかしこれ以上、家族に負担を強いることには無理がある。家族依存型の福祉が限界に達していることを認識し、公的サポートを増やすことを本気で考えなければならない段階に日本は来ている。

<資料:ISSP「Family and Changing Gender Roles IV」(2012年)>

≪筆者の記事一覧はこちら≫

舞田敏彦(武蔵野大学講師)


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