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北朝鮮、悪名高き公開処刑の「極秘プロセス」

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月22日 11時57分

 北朝鮮の人権問題を担当する国連特別報告者が、金正恩第一書記に対して「人道に対する罪」を問う可能性を強調している。

 この罪状に該当する行為のひとつが、悪名高い公開処刑だ。

「高射砲を使用した処刑」など、人体が原形をとどめないような残忍極まりない方法が知られるようになったことで、「金正恩体制=残忍な公開処刑」というイメージが定着した感もあるが、北朝鮮における、被疑者逮捕から死刑に至るまでの「プロセス」については実はあまり知られていない。

(参考記事:北朝鮮、スパイ容疑の芸術関係者を「機関銃で粉々に」)

 北朝鮮では、どのようなプロセスを経て死刑に至るのか――米国の北朝鮮専門ニュースサイト「NKニュース」が詳しく伝えている。

(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態...元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」)

 以下、その内容を再構成の上、一部加筆してレポートする。

 北朝鮮の司法体系は非常に曖昧だ。様々な法規定があるが、それに基づかない判決が下されたり、そもそも裁判が行われないケースもある。

 さらに政治犯収容所など、その法規定すら適用されない場所もある。

 金日成政権時代には、法律そのものが国家機密扱いで、北朝鮮駐在の外交官ですら法律の中身を知ることができなかった。それが変わったのは金正日政権になってからだが、恣意的な法の運用は相変わらずだった。

 北朝鮮の刑法によると、死刑を求刑できるのはテロ罪、祖国反逆罪、反国家目的破壊・闇害罪、民族反逆罪、麻薬密輸密売罪、故意的重殺人罪などだが、実際にはこれ以外の罪でも死刑が求刑され宣告されることがある。

 一般的な犯罪者は裁判を受けるが、政治犯の場合は国家安全保衛部(秘密警察)がいきなり家を訪れて逮捕・拘束。取り調べや裁判を受けることなく、そのまま収容所送りとなる。

 収容所では一般の法律が適用されず、看守が収容者の上に君臨し、強制労働に従事させられ、ちょっとしたことで拷問、処刑される。

 さらに、理不尽な処刑に抗議した人が、有無を言わさずその場で処刑されるなど司法手続きを無視した事例もある。 一般の犯罪者の場合は法廷で死刑を宣告されると、概ね公開の場で銃殺刑に処せられる。

 処刑が公開されないのは何らかの理由で社会に波紋が起きかねない場合だ。また、公開してもその対象を限定する場合もある。

 公開処刑が行われる場所は、街なかの競技場、郊外の河原、空き地などだ。

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