いざとなれば、中朝戦争も――創設したロケット軍に立ちはだかるTHAAD
ニューズウィーク日本版 / 2016年2月22日 17時10分
これは明らかに中国外交の負けだ。
戦略的な中国にしては、珍しくすでに敗北していると言っても過言ではない。
戦争という事態に突入することは米中ともに極力避けるべく努力するだろうが、しかし中国のジレンマは、いざとなったら中朝戦争をも厭わないほどまでに極限に達していると言っていいだろう。
日本にとっても戦争だけは起こしてほしくないが、中国がジレンマに追い込まれるのは「一党支配体制が崩壊するのを恐れているから」にほかならない。北朝鮮の存在は、そのこと自体に揺さぶりを掛けつつある。中国大陸のネットにあった。「中国にとって最大の敵は北朝鮮なのではないか」と。
もし北朝鮮が中国共産党の一党支配体制を崩す原因となるとすれば、なんという皮肉だろう。
一党支配体制を崩壊させないために北朝鮮を防波堤として守ってきたというのに、その防波堤こそが中国を崩壊へと導く遠因になるとすれば、東アジアにおける最大の歴史の皮肉と言わざるを得ない。それはちょうど、『毛沢東 日本軍と共謀した男』に書いたように、日本軍の存在が中国共産党を成長させ、中国共産党政権誕生に貢献したという皮肉にも似ていると、筆者の目には映る。
[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
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※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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