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X JAPANの壮絶な過去と再生の物語

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月23日 16時0分


世界進出 夢のマジソンスクエア・ガーデンの前で PASSION PICTURES

 そこで強くスティーブンを推薦された。スティーブンに会った瞬間、化学反応が起きたよ。

キジャク 私たちは2人ともデビッド・ボウイ世代。それからToshIも私も初めて買ったアルバムはキッスの『ラヴ・ガン』だった。私たちは同じ世代で、好きな音楽も似ていた。そうした共通点が、私を彼らの音楽に引き込んだのだと思う。

【参考記事】デビッド・ボウイ、最後のアルバムに刻んだ死にざま

YOSHIKI 僕らは80年代のヘアメタルにも影響を受けたけど、パンク、特にセックス・ピストルズのスタイルを多く取り入れていた。

キジャク HIDEを見ていると、(英パンクバンド)スージー・アンド・ザ・バンシーズを思い出すことがある。ゴスと派手さがあり、それはヘアメタルとは違ってもっと格好いい。

──映画では彼らの見た目について、とやかく言ってない点が良かった。

キジャク ありがとう。欧米的な視点だと、ああいう衣装や見た目はその性別に疑問を抱かせる。女装趣味なのか、ただの衣装なのか、って感じで。

 でも文化的に見ると、それはパンクやニューウエーブに対する愛から生まれたもの。どちらかといえば社会的な主張に近いんじゃないかな。日本社会で新しい扉を開く一手段だったように見える。

【参考記事】日本の良さが若者をダメにする

 僕は18か19歳で金髪にした。そしたらタクシーが止まらなくなった。「何だあいつは?」というふうに見られたんだ。髪をあんな色に染めるなんてあり得ない時代だった。でも今は日本中でピンクや紫や赤の髪が見られる。僕たちが文化的な変化に貢献したと言えるかもしれない。

──当初、映画制作に躊躇していたと言っていたが、なぜか?

YOSHIKI 僕たちの歴史があまりにも悲しいから。僕の父は自殺したし、バンドのメンバーも亡くした。そうしたことを語りたくないときもある。でも映画を作るとなると、それらを容赦なく思い出すことになる。今回のプレミア上映では90分間の中で10回は泣いた。でもその涙は悪いものではなくて、浄化作用みたいなものがあった。

──過去を振り返ってカタルシスを感じたと?

YOSHIKI 触れたくないんだけど、あえて触れることによって前へ進めるというか、より強くなれた感じだ。


独自のスタイル リーダーのYOSHIKI PASSION PICTURES

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