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事業に必要な人を口説き落とせる、それが本当のリーダーシップ

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月26日 17時36分

※インタビュー前編:「ホームレス」を生み出さない社会を目指して

問いを投げかけてメンバーの自主性を引き出す

 Homedoorを設立して最初にスタートしたプロジェクトは、ホームレスの人たちが修理した自転車をレンタルするシェアサイクルシステム「HUBchari(ハブチャリ)」でした。

 私はホームレスの方を親しみを込めて「おっちゃん」と呼んでいるんですけど、おっちゃんたちはみんな自転車修理が得意なんですよね。それを活かした仕事を作りたいということで生まれたアイデアなんですけど、同時に街中の自転車の放置問題も解決できるし、一般市民に手軽な移動手段も提供できる。これはうまくいきそうだというひらめきがありました。

 とはいえ、実現にはお金も人手も必要です。いろいろな壁を乗り越えて、ゼロから1を生み出すには目の前のことに淡々と取り組むしかありません。特に私たちの活動の場合、数字的な成果を求め出すとモチベーションの波にとらわれて、支援が均一でなくなったり、路上脱出を強制する圧力になりかねない。マイペースに、淡々と、そしてそれをいかに長く、均一に続けられるか。そこは重要なポイントかなと思っています。

【参考記事】日本の貧困は「オシャレで携帯も持っている」から見えにくい

自主性を尊重することがプロジェクトへの前向きな姿勢を生む

 もう1つ、活動する上で心掛けているのはおっちゃんたちに問いを投げかけることでしょうか。「これやって」ではなく、「こんなんやったらどうかな?」「これやれる?」とか。本人の自主性を尊重することがプロジェクトへの前向きな姿勢につながるように思います。

 それから、おっちゃんたちをお客様扱いしないのもHomedoorの特徴ですね。立っている者は親でも使えという感じなので、「ここに来るとこき使われるわ」とみんなこぼしてます(笑)。でも、おっちゃんたちもそう言いながら喜んで来てくれるんですよね。軽口が叩けるくらい信頼関係ができているということだと思います。

 それくらいのつながりができれば、ホームレスを卒業した人に現場リーダーをお願いします。例えば駅前の自転車の整理業務といった仕事も行っていますが、その現場の管理はお任せしちゃいます。今は現場のスタッフが55名ほど、うち4名が現場リーダーとして作業を取り仕切ってくれています。現場に権限を委譲して、おっちゃんのケアはおっちゃんでやってもらう方がスムーズに行くことも多いです。

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