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事業に必要な人を口説き落とせる、それが本当のリーダーシップ

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月26日 17時36分

 そうした現場スタッフの努力のかいもあって、HUBchariは自転車が足りないほど利用者が増えました。* さらに企業さんのご協力をもらって、拠点や自転車を増やせたらいいなと思っています。将来的に自転車に企業広告を載せることにもチャレンジしていきたいです。

 おっちゃんたちからも、「なじみ深い自転車修理を仕事にできてうれしい」「定期的な収入** になるので少しずつお金を貯めて路上脱出を目指せる」といった好意的な声が多く寄せられていますが、何といっても、お客さんとの交流が生きる力につながっているようです。「接客は苦手だと思っていたけど、お客さんと話すうちに楽しくなってきた」「お客さんがお金を出して借りてくださっているのに、ありがとうと言ってくれることに感激する」というおっちゃんもいますよ。

試しにやってみようと始めて定着した事業も

 釜Meetsも一定の参加者が集まる、定着プロジェクトの1つになりました。学校や企業などの依頼を受けて開催するものと自主開催とで分かれていて、前者では1回あたり10人から、多いときは90人くらいの参加者がいます。後者は20~40人くらいが集まります。

 自主開催の場合のスケジュールは10時スタートで、釜ヶ崎やホームレスに関するワークを行った後、街歩き、炊き出し参加、最後にワークショップを行って16時ごろ終了という具合です。依頼型の開催は要望に応じて調整します。

 釜Meetsもきっかけは、おっちゃんたちが「釜ヶ崎のことを若い子に知ってほしい。俺が案内したるから」と言ってくれたことにあります。釜ヶ崎って気になるけど何となく怖いし、1人じゃ行けない、でもちゃんと知りたいというニーズを持つ人は私の周りにいたので、じゃあそれを結び付けて試しにやってみようと始めたら意外に参加者が途絶えず、ずっと続いているという状態なんです。

 話しながら街を歩き回るのは体力が必要で、参加費もそんなに取れるものじゃないですし、正直見合わない事業ではあるのですが、おっちゃんたちの期待もあるし、参加者のニーズもあるので、そう簡単にやめることはできません。



課題を設定して解決を図る逆算思考を重層的に組み合わせていく

 どんな事業も思いがけない展開を見せたり試行錯誤の連続だったりしますけど、社会構造を変えたいという課題をまず的確に理解した上で、その解決のために何をすべきかという逆算思考は大切にしています。

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