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シャープ買収を目指す鴻海の異才・郭台銘は「炎上王」だった

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月26日 19時40分

 PC需要が陰りを見せた後は、積極投資で工場を進化させ、アップル社のiPhone組み立ての主軸を担うようになった。テレビ、PC、スマートフォンと時代の変化にもまれながらも勝ち続けている、まさに立志伝中の人物だ。

 これだけの成功を収めた人間が普通であるはずがない。というわけで、その強烈なキャラクターは数々の迷言珍言を残している。

「(飛び降り自殺の原因は)若者が打たれ弱いから」

 鴻海傘下の中国EMS企業フォックスコンでは2010年1月から11月にかけて、労働者14人が次々と飛び降り自殺する事件が起きた。フォックスコンの深圳工場は当時40万人もの労働者を抱え、あたかも一つの都市のような規模だった。

 非番の時間も工場敷地内で休息を取るのみ。朝から晩までスマートフォンを組み立て続ける非人間的な生活に疲れ果てたのでは、と批判されていた。郭会長はメディアのインタビューに答えて「最近の出稼ぎ農民は打たれ弱いんですよ」と発言して批判されている。

「尖閣諸島を買収してもいい」

 2012年、鴻海によるシャープへの出資が取りざたされていた時のエピソード。郭会長は株主総会で、シャープと提携すれば韓国のサムスンを倒せると発言。日台関係の懸案である尖閣問題については、「尖閣諸島を買収してもいい。そして日本と共同開発する」と言った。

 日台関係を改善したいという思いからの発言と思われるが、領土問題を金で解決するという発想に台湾ネットユーザーから一斉にツッコミが入る一幕となった。

「新卒給与が7.5万円以下の企業なんて聞いたことがない」

 台湾の格差問題を象徴するキーワードが「22K」だ。2010年頃からの問題だが、大卒初任給が2万2000台湾ドル(約7万5000円)に抑えられている企業が多いとの意味である。過酷な受験競争を生き抜いた末に、この給料では生きていけないというわけだ。

 2014年、郭会長は「新卒給与が22K以下の企業なんて聞いたことがありません。そんな会社があれば私が買収して36Kにまで上げますよ」と発言した。ところがこの後、ネットでは「私の給料は22K以下なんですが」との書き込みが殺到。さらには鴻海グループに勤める会社員が「私の給料は16Kです。早いところ買収してください。あれ、もう傘下だったっけ?」と暴露し、大騒ぎとなった。

「民主主義ではメシは食えない」

 学生たちによる議会占拠、いわゆる「ひまわり学生運動」が終わって約1カ月が過ぎた2014年5月の発言。

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