【動画】大統領選のゲスな「ネガティブCM」、黒幕は誰だ?
ニューズウィーク日本版 / 2016年3月14日 16時5分
アメリカは「フリースピーチ」の国だ。合衆国憲法修正第1条で「言論の自由」を保障しているこの国では、不動産王ドナルド・トランプのように罵り言葉を叫びながらでも共和党の大統領選候補者レースのトップを独走できることが証明された。
とはいえ、アメリカにも現状を危惧している人たちはちゃんといる。こんな人物が大統領になった暁には、全世界が見守るホワイトハウスの記者会見で放送禁止用語を連発し、画面からは「ピーピー」といったかぶせ音しか聞こえてこない――とでも言いたげなテレビCMが、このほど「反トランプ」団体によって製作された。
【参考記事】「トランプ大統領」の危険過ぎる訴訟癖
「The Best Words(名言集)」と題された30秒のCMでは、まず仮想大統領のトランプが「名門大学を卒業した高学歴の自分は最高の言葉ばかりを使う」と自己紹介する。どんな名スピーチが披露されるのかと思いきや、その後に続くのは英語でタブーとされている言葉のオンパレードだ。さすがに書き起こすのは憚られるので、ピーピー言っているのを観て内容を想像していただければ......。
反トランプCM「The Best Words」(3月7日公開)
【参考記事】「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる
こういったテレビCMは、米大統領選の風物詩とも言える「ネガティブキャンペーン」の一環だ。11月の大統領選本選に向けて、これから民主・共和両陣営による世にもゲスな誹謗中傷合戦が本格化していくことになる。
ネガティブキャンペーンは同じ党内の候補者同士でも容赦がない。先に紹介した反トランプCMを製作したのは、「American Future Fund Political Action」という保守系の非営利団体で、「政治活動委員会(PAC)」と呼ばれる政治資金管理団体の1つ。トランプ降ろしを掲げてはいるが、支持政党はトランプが所属する共和党だ。
「スーパーPAC」は巨額の献金を受け付ける強力な集金マシーン
さて、選挙シーズンにやたらと耳にするこの「PAC」という団体。おさらいしておくと、アメリカでは企業や組合、団体などが政党や政治家に直接献金することが禁止されている。それでも選挙活動に資金援助ができるよう、政治献金の受け皿となるべく組織されるのがPACだ。政治献金の合法的な抜け道ともいえる。
長らくPACへの献金額は1人年間5000ドルまでとされていたが、2010年の最高裁判決でこの上限が撤廃されて無制限に受け入れ可能となった。こうしてPACは「スーパーPAC」と呼ばれるようになり、今や大企業や裕福な個人から巨額の献金を受け付ける強力な集金マシーンと化している。
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