新華社が「中国最後の指導者習近平」と報道
ニューズウィーク日本版 / 2016年3月15日 11時30分
実は全人代が始まる前日の3月4日、「無界新聞」が「習近平同志が党と国家指導の職務を辞職することを要求する」という公開状をウェブサイトに載せたことを「博聞社」がスクープした。
これもハッカーの仕業だとされており、もちろんすぐに削除されている。しかし既に遅し。全世界に転載されてしまった。
「無界新聞」というのは、2015年3月、財訊メディアグループと新疆ウィグル自治区およびアリババグループの三者によって創立された新メディアだ。CEOは欧陽洪亮という、まだ若い男性で、彼はもともと雑誌『財経』の記者をしていた。『財経』の親会社が財訊メディアグループだ。したがって無界新聞は欧陽洪亮が中心となって起こした新メディアということになるが、なぜ新疆ウィグル自治区と提携したかというと、新疆ウィグル自治区の書記・張春賢の妻で中央テレビ局のキャスターであった李修平氏と欧陽洪亮は親しい関係にあったからだ。
そこで新疆ウィグル自治区に白羽の矢が当たったのだが、ここは「一帯一路」の拠点の一つ。昔から新シルクロード経済ベルトの石油パイプラインの拠点として、中央アジア五カ国を結んでいる。
アリババのCEO馬雲氏は、習近平国家主席と微妙な関係にあることを、2015年12月13日付けの「アリババが香港英字紙買収――馬雲と習近平の絶妙な関係」に書いた。微妙なというのは、令計画が「西山会」で逮捕されたように、馬雲も実は「江南会」を結成していた。しかし、窮地に追いやられ危機を感じ取った馬雲は、変わり身早く、「江南会」を「湖畔大学」に変身させ、私立の「創業者のための大学(専科)」を設立し、習近平の望む方向にネット業界、特に言論業界を動かし始めた。だから、「一帯一路」に関しても習近平が喜ぶように新疆ウィグル自治区を拠点にウェブサイトを立ち上げようとしたわけである。
ところが、その「無界新聞」でこのような公開状が出たということは、習近平にとっては、「絶対に!」許されないことである。
おまけに3月8日、新聞記者の「習近平政権を支持しますか?」という質問に対して、新疆ウィグル自治区の張春賢書記は「その話は、又にしましょう」と回答している。
前代未聞の回答だ。
新疆ウィグル自治区は石油王だった周永康の地盤だった。
果たしてこれら一連の動きは、単なる「ハッカー」の問題とみなしていいのだろうか?
中宣部の中に何かがあるのか、あるいはネットユーザーの中に「習近平政権打倒」あるいは「共産党一党支配体制打倒」を狙う勢力があるのか?
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