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香港・マカオ4泊5日、完全無料、ただし監禁――中国「爆買い」ツアーの闇

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月24日 15時49分

【参考記事】銀座定点観測7年目、ミスマッチが目立つ今年の「爆買い」商戦

罵倒に脅迫、そして殺人......中国式セールストーク

 冒頭の知人女性の体験だと、最初の土産物屋でガイドが激怒。個室にツアー客全員を集めて、えんえんと説教をし始めたという。「あなたたちが買い物をすれば30分で移動して観光に行ける。さもなくばずっとここにいてもらうことになる」と監禁宣言。ちなみに建物には通信機能抑止装置が設置されており、携帯電話は強制的に圏外に。助けを呼ぶこともできないのだ。細かいところまでよく考えられていると感心してしまった。

「それでもうちのガイドさんは温厚な男性だったので、そんなに怖くなかった」と知人女性。「他のツアーのガイドは女性でね。びっくりするような大声で"ふざけるな""いいかげんにしろ"と怒鳴りつけたり、猫なで声で説得してきたりとテクニックが豊富。たぶん、うちのガイドさんはすぐに廃業するんじゃないの」と話していた。

 実際、中国ガイドの売りつけテクニックは圧巻だ。私も香港ではないが、中国のツアー旅行に参加したことがあり、その圧倒的技術を目の当たりにした。時に優しく、時に罵倒し、時に脅迫してとありとあらゆる技を駆使している。

 中でも話題となったのが、2015年10月に香港・九龍地区の宝飾品店で起きた事件だ。買い物を拒んで店に入らなかった客にガイドが激怒。チンピラを呼んで殴る蹴るの暴行を加え、死亡するという惨事が起きている。香港当局及び旅行業界は改善を約束しているが、何も変わらぬまま今にいたっている。

 ここまで悪名が知れわたれば参加しなければいいのにと思うのだが、そこは13億人の中国。リピーターがいなくとも新たな客を開拓し続ければ食べていけてしまう。また有料ツアーにしても、ホテルのグレードが上がったり土産物屋にいる時間が少し短くなったりする程度で、本質的にはあまり変わらないというあきらめもあるという。それだけに、できれば個人旅行で外国に行きたいと考える人が多いが、価格や手間を考えて仕方なくツアーに申し込む人もいるという。

ブラック旅行ビジネスは水平展開され、日本にも上陸

 さて、こうしたえげつない中国の旅行ツアーはなにも香港・マカオだけではない。韓国や台湾でも、香港に近いレベルで「ブラック旅行インフラ」が整備されている。先日は「オーストラリアの土産物屋で働いていたんだけど質問ある?」というネット掲示板が話題となった。ぼったくり土産物屋でバイトした経験から、普通のお店の数倍という高額の料金で売りさばいていたことを告白する内容だ。

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