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内面に響くテーマを設定し、社員のモチベーションを高める

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月25日 17時5分

 また、イベントスペースでは週3~4回ほどのイベントが開催されていて、少なくとも週1回は外部の有識者を招いての講演など100人以上の規模のイベントが開かれています。これほどイベントを重視しているのは、良質なコミュニティ作りにつなげたいという思いから。ちなみに、ここも業務スペースと同じく壁全体をホワイトボードにして議論の活性化に役立てています。

 イベントスペースは、日中は社員食堂「SmartKitchen」となります。おいしくて健康的な食事を提供していて、社員は無料で利用できます。テーブルは大きく8人掛けの席にして、違うチームの人との相席の機会を提供しています。チームを超えたコミュニケーションが実現するわけです。

社員に教養を身体化してもらうための特別な空間

 ミーティングができる小部屋も9室あるのですが、この会社では形式ばった会議よりも立ち話やカジュアルなトークが推奨されているので、あまり使いません。打ち合わせもフリーアドレスのスペースで行うことの方が多いですね。今のところ、これらの小部屋は採用面接用のインタビュールームや、サンフランシスコやニューヨークのメンバーとの会議で使っています。

 ほかにユニークなスペースとしては、「チューリングの部屋」が挙げられるでしょうか。アラン・チューリング* をテーマとした本棚のあるスペースです。

日中はランチの場所となるイベントスペース。

 きっかけは2014年12月、独立研究者の森田真生さんによるチューリングをテーマとした社員向けの講演会を開いたことです。盛り上がった社内の有志が4つの勉強会を立ち上げ、原論文を読んだり、エニグマ(暗号機)を調べたりしました。その成果も含めて、森田さんを中心に選書した本を置いたのがこのスペースです。社員にアルゴリズムや人工知能、ジャーナリズム、政治哲学などについての教養を持ち、さらにそれを身体化してほしいという僕の思いが反映されています。

人が密集していると脳も身体も疲弊する。ゆとりある空間でこそ能力を発揮できる


 写真で見ていただくと分かると思いますが、オフィス全体がすっきりと品のいいデザインでまとめられています。これはオフィスデザインの統括ディレクターを担当していただいた株式会社REの代表取締役社長でボタニカルデザイナー・江原理恵さんの尽力も大きいです。

 社員全員へのヒアリングを通してデザインをまとめ、全ての家具をセレクトしていただきました。江原さんはスマートニュースのメンバーと一緒に仕事をしていたことがありますし、前のオフィスのデザインも担当してもらっています。どういう人たちがどういう仕事の仕方をしていて、どういう課題を持っているかをよく分かっているんですね。

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