ワシントン米中首脳会談、中国での報道
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月3日 21時4分
●台湾問題:一つの中国の原則を遵守し、中米の長期的発展に利するよう行動すること。
オバマの顔から笑いが消えていく時系列!
このように習主席が、いかに堂々と中国の利益を守り主張したかが、一連の報道には満載されている。
そして今回の「習奥(習近平‐オバマ)会談」は習近平政権誕生以来7回目となるが、オバマ政権中に、あと2回米中首脳会談があるはずなので、「習奥会談」は合計9回となるであろうことが強調されている(奥は奥巴馬のことで、オバマをその発音に当てはめて中国語表記したものである)。
しかし習近平が国家主席となった第1回目の「習奥会談」からこんにちまでを時系列的に見ると、オバマ大統領の顔から、どんどん笑顔が消え、冷めていく様子が手に取るようにわかる。
1回目の会談は2013年6月、カリフォルニアのアネンバーグ邸で行なわれた。そのときのオバマ大統領は「へつらわんばかりの」満面の笑みをたたえていた(これも画像が鮮明になるまでにやや時間がかかるので、少しだけ辛抱して画像が落ち着くのをお待ち頂きたい)。
2回目の大きな会談は2014年11月で、今度はオバマ大統領が北京を訪問。アネンバーグ邸のお返しに、中南海でもてなしている。この時のオバマさん、まだ満面の笑顔を崩していない。
しかし大きな会談としての3回目あたりとなると、オバマさんはすでに「笑っていない!」
これは「作り笑い」であって、笑っているのではない。筋肉は笑顔を作った時の動きになっているかもしれないが、目は「苦しげ」、いや「憎らしげ?」でさえある。2015年9月、ワシントンにおける会談だ。
こちらの写真は、筆者が書いたコラム<まれに見る「不仲」に終わった米中首脳会談【習近平 in アメリカ】>で使用した、習主席の「恨み節」のような表情だ。
このように、「"党"という名前を持ったメディア」が、どんなに華やかに宣伝してみたところで、「新型大国関係」はすでに冷めており、ほぼ存在していないに等しいのである。
それにしても、オバマ大統領もまた、げんきんなものだ。
いくらアメリカ国内の民意が逆風であっても、また次期大統領選において不利になることが予測されるからではあっても、こんなに誰の目にも明らかに見て取れるようでは、最初から「笑みの演技」などしない方がましだったのではないだろうか。
[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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