トランプ旋風を生んだ低俗リアリティ番組「アプレンティス」
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月5日 21時30分
This article first appeared in the Washington Spectator.
半年前、ワシントン・スペクテーターに採用されたばかりの記者リック・パールスタインは大胆な予言をした。ドナルド・トランプの人気は一時的なものではない、と当時のメディアの大勢に異論を唱えたのだ。
実際トランプは、その後急速に支持を広げていった。大半のメディアや評論家には理解できないことだった。なぜなら彼らは、トランプに魅力を感じる人々とまったく接点をもたなかったからだ。トランプを支持しているのは労働者層。政治談義を生業にするインテリ層が普段まったく注意を払わず、無視したり、軽蔑したり、馬鹿にしたりしている層だ。
朝出かける前ではなく、仕事から帰ったらシャワーを浴びて汗を流すこうした労働者たちは、インテリ層と違ってトランプをごく身近に知っている。
アメリカの下層労働者層は、なぜドナルド・トランプを知っていたのだろう。それは、トランプが長らく彼らの生活の一部であり、彼らの居間をちょいちょい訪れる人物だったからだ。下層労働者層を無視してきたエリート政治家との決定的な違いだ。
以下は、パールスタインが半年前、11月1日付けワシントン・スペクテイターに書いた記事の抜粋だ。
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トランプの支持率は、なぜ今もトップなのか。私は数週間前に説明を試みた。人種差別、サディズム、ポピュリズム......そのすべてがあてはまる。
だが、見落とされがちな理由もある。トランプがホストを務める人気テレビ番組だ。ハリウッドの洗練された技術を駆使して、何百万人ものアメリカ人の心にトランプのイメージを焼き付けた。おそらく大統領を除く政治家で、トランプほど顔とキャラクターを売ってきた政治家はいないだろう。選挙運動で誰もが驚くほどの成功を収めているのも道理だ。
ドナルド・トランプのリアリティ番組「アプレンティス(弟子)」は、2004年から続いてきた人気番組。実業家としての成功を夢見る若者たちから応募者を募り、審査で選ばれた16人がトランプの会社で様々な課題に挑み、最後に残った1人をトランプが採用する、というもの。2004年1月8日の初回放送は、トランプらしい馬鹿げたものだった。
ニューヨーク。私の街。グローバル経済の歯車が回り続ける街。ビジネス世界を駆り立てる比類なき力と目的を持った、コンクリートのメトロポリス。マンハッタンはタフな街だ。マンハッタンは弱肉強食の世界だ。
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