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ミシシッピ州で「反LGBT法」成立、広範な差別が合法に

ニューズウィーク日本版 / 2016年4月6日 18時3分

 米ミシシッピ州のフィル・ブライアント知事は4月5日、州内の事業者がLGBT(性的少数者)へのサービス提供を拒否できるようにする法案に署名し、法律として成立させたことをツイートした。

 ブライアントによれば下院法案1523号は、「民間団体や組織、個人の真摯な宗教的信念、道徳的信条を、州政府機関による差別から守るため」のもの。

 だがLGBTの権利擁護団体ヒューマン・ライツ・キャンペーンによれば、この新法により個人・団体は、宗教を理由にLGBTなどへの差別を正当化できるようになる。さらには、里親がLGBTの子供を「転向セラピー」に送り込むことも可能だ。転向セラピーとは、ゲイやレズビアンを異性愛者に転向させようとするための心理療法で、州によっては違法とされている。

【参考記事】性的指向を矯正する転向療法の終焉?

 下院法案1523号は、「結婚は男性と女性の結合(ユニオン)であり」、性交渉は「そのような結婚のために適切になされるもの」と信じる人々を守るための法案なので、ひとり親への差別すらも合法にしてしまうと、米自由人権協会(ACLU)は批判している。



 またACLUによれば、自らの宗教的信条に従わない従業員を企業が解雇すること、トランスジェンダー(体と心の性が一致しない人)の生徒が自分の性的アイデンティティーに合う服装をするのを学校が認めないこと、宗教的信条を理由に住宅の賃貸・売買を拒否することも合法になる。

In signing #HB1523 , @PhilBryantMS has chosen Mississippi's dark past over a bright future. #ShameOnPhil pic.twitter.com/q6MKtZIQHv— Montel Williams (@Montel_Williams) 2016年4月5日

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 ツイートした声明で、ブライアントはこうも主張する。法案は「憲法や州法で保障された州民のいかなる権利も制限するものではない」。その目的は「州民の生活に州政府が干渉するのを防ぐ」ことだと。

 ACLUのミシシッピ支部は同じく5日、声明を発表した。

「ビジネスや結婚、住居などで不可欠なサービスやケアを"人格"を理由に拒否されるおそれがある。多くのミシシッピ州民にとって、またミシシッピ州にとって、悲しい日となった」

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