ヒラリー、トランプ圧勝でも予備選の混迷は続く
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月21日 12時0分
今週ニューヨーク州で実施された予備選では、民主党のヒラリー・クリントン候補、共和党のドナルド・トランプ候補が共に大差で勝利した。それでは、この2人がこれで一気に大統領の座に近づいたのかと言うと、必ずしもそうは言いきれない。この先の「予備選の終盤レース」へ向けて、両党の混迷はさらに深まったという見方もできる。
まず民主党では、ここ数週間、ヒラリーは連戦連敗だった。バーニー・サンダース候補には明らかな勢いが出ていた。その勢いに乗って、ニューヨークでも逆転勝利とまでは行かなくても、ヒラリーを僅差に追い詰めるという、そんな可能性が指摘されるほど、投票日直前のムードとしてはサンダース陣営が勝っていた。
だが、結果としてヒラリーの得票率が58%(獲得代議員数139)に対して、サンダースは42%(代議員数106)と、16ポイントの大差となり代議員数でも差が付いている。現時点で、ヒラリーの獲得代議員数は合計で1930となり「マジックナンバー(民主党の場合は2383が過半数+1)」に近づいてきた。一方のサンダースは1223と、かなり差が開いている。
ヒラリーの獲得代議員数の過半数超えは秒読みに入った。残された問題は、統一候補となった場合、サンダース支持派を含めた党内をまとめきれるかという点だ。つまり、予備選のしこり、日本風に言えば「怨念」が残る中で、サンダース支持派が「本選で棄権する」という可能性がある。
【参考記事】最強の味方のはずのビルがヒラリーの足手まとい
この点では、2008年の「オバマ対ヒラリー」の予備選も、相当な泥仕合となった。ヒラリー陣営から「バスケットボールのようなエリートのスポーツばかりやっていたオバマは、白人の貧困層の気持ちがわからない。その証拠にボウリングが下手」などという人格攻撃をされたこともあった。負けず嫌いのオバマは、必死になってボウリングの練習をしたという噂も出たぐらいだ。
だが、そんな確執があっても、オバマ政権発足時に国務長官就任を依頼されたヒラリーは、入閣を受諾して、今はオバマ政治の継承を訴えている。それ以前の問題として、本選でのオバマは、党内の団結を背景に高い投票率を実現して勝利した。
では、サンダースとその支持者はどうかというと、2008年とは異なる「怨念」が残る懸念がある。まず、政策がまったく違う。民主党内でも、中道実務派のヒラリーと、最左派のサンダースの立ち位置は相容れないほど遠い。また、支持層も違う。サンダースは若者に強く、ヒラリーは中高年に強い。さらにヒラリーは有色人種に強く、サンダースは中西部で強いなど、支持層が「違いすぎる」のだ。
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