ヒラリー、トランプ圧勝でも予備選の混迷は続く
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月21日 12時0分
今回のニューヨーク州予備選では、手続きにも問題があった。州独特のルールにより「選挙人名簿への登録は1年前」という規定、そして「国政選挙を2回連続して棄権すると名簿記載が失効」するという規定により、サンダース支持の無党派層がまったく投票できず、一部の報道では10万票が無効になっているという。
この点に関しては、州の規定にはあいまいなところはなく、連邦判事も「投票権確認の仮処分申請」をスピード却下するなど、論争の余地はないようだ。だが、投票できなかったサンダース支持派には、感情的な「しこり」が残りそうだ。
サンダースは、過半数超えの望みがほとんど消えたにも関わらず、幅広く集めた個人献金の資金を使って選挙戦を続けている。例えばペンシルベニア州では「ヒラリーは、悪質な富裕層向け銀行と癒着している」などという、相変わらず一方的な広告を流しているが、この種のキャンペーンが、本選へ向けての党内の結束を傷付ける危険は無視できない。
【参考記事】大統領候補の高齢化が示すもの
対する共和党では、ドナルド・トランプ候補が60.1%という得票率で大勝している。だが、2位のジョン・ケーシック候補が25.1%と善戦したこともあって、代議員数92の「総取り」はできなかった。トランプの獲得代議員数は89に終わり、通算で847となった。
この60%超えというのは事前の世論調査を上回るもので、圧勝と言って良いのだが、問題はここで「代議員数3」を落としたことだ。現時点では残り674の中で、トランプが過半数+1の「マジックナンバー1237」を確保するには390が必要。つまり残りの代議員数の60%以上を取らねばならない。
今回の勝利で、この「1237への到達」は理論的には可能になったと言われている。だが、多くのアナリストが試算の結果として指摘しているのは、「マジックナンバーに1人か2人足りない」という結果に終わる可能性が一番高いのだという。そう考えると、今回「3人少ない89に終わった」ことは重大だ。
トランプ陣営もそのことは理解しているようで、「圧倒的1位であれば(過半数に届かなくても)指名されて当然」という主張を強く訴え始めている。だが、共和党の全国委員会は「ルールはルール」だとして、党大会の場での自由投票による「トランプ降ろし」の可能性を依然として追求してくるのは間違いない。
ちなみに、現在2位のクルーズと、3位のケーシックは、この終盤戦の状況では「一本化するよりも双方が得意な層から集票した方が、トランプの過半数超えを阻止できる」と判断している。
この記事に関連するニュース
-
米大統領選の予備選、激戦州ペンシルベニアでバイデン氏、トランプ氏が順当に勝利も抗議票もみられる(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月25日 11時45分
-
【米大統領選】バイデン意外に健闘、共和党系の世論調査でもトランプを上回る
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月18日 19時20分
-
NY州など北東部3州の米大統領選の予備選、バイデン大統領、トランプ前大統領が勝利確実(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月8日 0時50分
-
米大統領選挙予備選、激戦ウィスコンシン州でもバイデン大統領とトランプ前大統領がそれぞれ勝利(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月4日 11時20分
-
トランプは「面白い」、バイデンは「失望した」…アメリカのZ世代が"トランプ推し"に変わった理由
プレジデントオンライン / 2024年3月29日 9時15分
ランキング
-
1少数民族の組織、独自に3人処刑 ミャンマー北東部、批判も
共同通信 / 2024年4月27日 16時55分
-
2キューバで死亡のカナダ人、誤ってロシアに埋葬
AFPBB News / 2024年4月27日 14時30分
-
3AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月27日 12時49分
-
4ウクライナの4発電所が損壊 ロシア南部には無人機攻撃
共同通信 / 2024年4月27日 19時6分
-
5ロシアで元囚人の帰還兵による凶悪犯罪相次ぐ 2年間で市民100人超死亡
産経ニュース / 2024年4月27日 10時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください