日本、潜水艦受注逃す――習近平とオーストラリア(豪州)の深い仲
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月27日 17時0分
たしかにアボット元首相は安倍総理と親密で、熱烈な親日派として知られているが、一方では中国にもかなりいい顔をしており、なかなかの「やり手」であったことが、このことからもうかがわれる。オーストラリアがAIIBに加入したのはアボット首相時代であったことを見逃してはならない。
以上から、必ずしもターンブル首相に変わったために日本への風向きが急変したとも言いにくい現実が見えてくる。
そして習近平もまた、オーストラリアを囲い込もうと、非常に戦略的に動いていたことが、ご理解頂けるだろう。
ただそれでもなお、外交関係以外にターンブル首相と習近平国家主席との間には、さまざまな個人的関係もあるのは確かだ。
習近平の弟・習遠平はオーストラリア国籍を持っている
中国とオーストラリアとの関係は、こういった豪中外交関係だけに終わらない。
実は習近平国家主席の2歳年下の弟、習遠平氏は、オーストラリア国籍を持っており、オーストラリアに住んでいる。もちろん北京にある国際節能環保(省エネ環境保護)協会の会長でもあるので、北京にいることも多いが、習遠平は90年代から香港に移り、そこからオーストラリアへと移り住んでいる。
結婚した相手が徐才厚の元愛人と噂されていた女性だったということもあり、習近平国家主席とは仲が悪い。しかし、表面的には習遠平が習近平国家主席の弟であることに変わりはない。こういった、やや危ない個人的理由もあって、豪中関係を親密にしておくことには非常に重要なのである。
ターンブル首相の、中国との浅からぬ因縁
ターンブル首相にしたところで、中国とは1990年代から浅からぬ因縁がある。
実はターンブル氏は1994年に実業家として河北省の鉱山に投資して「河北華澳鉱業開発有限公司」を設立していた(澳は中国語のオーストリアの最初の文字)。ターンブル氏はこの会社の運営に最近までたずさわっていた。
そんなわけでターンブル氏の息子アレックスは、北京で中国語の学習をした経験がある。のちに中国人女性と結婚していると、オーストラリアの"The Australian Financial Review"が報道している。二人は香港に住んでいたが、今はシンガポールに移り住んでいるとのこと。
この中国人女性の父親は、文革終了後、コロンビア大学に留学し、帰国してから中国社会科学院に就職。その後、香港に移り住んでIKEYAなどの事業を展開した。
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