中国SNSのサクラはほぼ政府職員だった、その数4.8億件
ニューズウィーク日本版 / 2016年5月27日 19時22分
官僚たちがまじめに強化していく言論統制の先にあるもの
しかしながら、言論統制やむなしと考える人々も、とめどない規制強化に賛同できないのではないか。習近平政権発足後、言論統制は大幅に強化されている。
先日、武漢理工大学マルクス主義学院の張応凱教授が授業中の不適切発言で処分されていたことが明らかになった。「マルクス主義基本原理」という授業で「中国人労働者の剰余価値は政府と資本家の連合に奪い取られている」とつぶやいたことが問題になったという。この発言を中国教育部直属の私服巡視員が録音して問題視された。
私も中国の大学に留学したことがあるが、この程度の発言は珍しいものではなかったし、学生たちにもバカ受けしていた。ところが気がつけば大学内にスパイが入り込み、また学生に問題発言を密告するよう奨励しているケースまであるという。
ここまでの統制に意味はあるのか、言論統制やむなしと現状維持に納得している人まで政府批判にまわらせてしまうのではないかと心配になるが、なにせ中国は世界最古の官僚国家である。ネットや大学でも思想統制を強化するとの目標を定めてしまえば、"官僚機械"は目標に向かって着実に仕事をこなしてしまう。その結果生まれたのが、年4億8800万件のサクラ書き込みであり、授業にまぎれこむ私服巡視員である。このまま官僚機械がまじめに仕事を続ければ、さらにエスカレートした事態が生まれることだろう。
[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)
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