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崩れゆくベネズエラ ── 不穏な政治状況、物不足と連日の襲撃事件

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月8日 8時15分

 てんかんの薬さえ飲めば問題なく元気に暮らしてた14歳が、薬不足で数日間薬が飲めなくて亡くなる。こういうケースが毎日続々と起きてるときに、政府は薬の確保ではなく、F1レーサーのマルドナードに年間4500万ドル出し続けていた。

 でもかつてはあんなに豊富にあった石油マネーはどうなったのでしょうか? 汚職、汚職、汚職、汚職、汚職...で、もうありません。

 貧困対策? チャベス派は長年、貧困層への教育をプロパガンダの中心にしていたけれど、これも現在では虚しいお粗末な状況です。学校給食プログラムは機能してないし、貧しい子どもは飢えまっしぐら。一方で2003年以降、政府関係者は食料輸入関連の汚職だけで2000億ドルは盗んでいた。

 2000億ドルって、日本円で17兆円弱ですよ。しかも食料輸入関連だけでこの額です。
(この記事については、国連の外交問題のポッドキャストGlobal Dispatchesでもトーロが話してるので良かったら聴いてみてください。)

チャベス派の中からも起こる抗議

 ちなみに、貧困対策でも特に有名なミシオン・ビビエンダですが、かつてはチャベス派の票は堅いと言われていたこのような場所でも抗議運動が起きていることを英紙ガーディアンが伝えています。当然だと思います。ミシオンのお世話になるような貧しい人から飢えていくからです


"In Venezuela's housing projects, even loyalists have had enough


 このような状況なので当然、野党の反発は大きく、さらにその反発を、政府は法的権力をもって(最高裁による野党が多数派を占める国会の無効化などによって)抑えつけようとしています。出口は見えないまま緊張ばかりが高まり、政治状況も芳しくありません。







混乱する政治状況


"[FT]ベネズエラ、非常事態に 大統領解任求め混乱


 このシパーニの記事はベネズエラの政治状況について日本語で読める最も的確な記事だと思います。彼は抗議運動に取材に行き、催涙ガスを浴びまくって大変だったようですが。

 この記事にもあるように、野党支持者が各地で抗議を行っており、政府当局との衝突は各地で頻繁に起きています。が、野党支持者にとって状況は決して楽観できるものではなく、困難が山積みです。

 野党政治家は外に出て政府に反対の声を上げるよう呼びかけていますが、実際にその声に応えて抗議行う人々の様子は少し前のブラジルの抗議の様子に比べ、大勢の人の波というには程遠い、一部の人たちです。

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