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ヒラリーを「歴史的」勝利に導いた叩かれ強さ

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月10日 19時10分

 また、「The View」というテレビ番組でヒラリーが冗談まじりに語っていたが、彼女の強みは「面の皮が厚いこと」である。

 トランプもサンダースも、他人からの批判に過敏だ。トランプは、批判されたら倍返しをする。相手がローマ法王であっても。また、サンダースは、レポーターの質問が気に入らないときに、短気になったり 、その場を立ち去った りすることがある。

 女性のヒラリーが同じことをしたら、トランプやサンダースのように簡単に見逃してはもらえない。長年の経験でそれがわかっているヒラリーは、「女性差別だ!」と文句を言うかわりに面の皮を厚くするトレーングをしたのだ。

 トランプ人気を懸念する人は多いが、ヒラリー自身はトランプが対戦相手になったのを喜んでいるという見方もある。これまでは対戦相手のサンダースを腫れ物のように扱ってきたが、トランプが相手なら遠慮なく攻撃できる。

 暴言を繰り返しているが、実はプライドが高く傷つきやすいトランプは、何十年もあちこちからバッシングを受け、倒れ、起き上がってきたヒラリーより精神的に弱い。本選の討論では、トランプが冷静さを失って暴言や揶揄で反論するだろう。共和党のディベートではそれが有効だったが、予備選と本選はまったく異なるゲームだ。

 本選では、国民は候補に「大統領らしさ」を求めるものだ。ヒラリーとの一騎打ちとなったトランプは、予想以上に早く崩れ始めるかもしれない。

<ニューストピックス:【2016米大統領選】最新現地リポート>

≪筆者・渡辺由佳里氏の連載コラム「ベストセラーからアメリカを読む」≫

渡辺由佳里(エッセイスト)


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