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サンダース支持者はヒラリーに投票するのか? しないのか?

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月17日 18時30分

 ワシントンDCの予備選の夜、ヒラリーとサンダースは90分にわたって会談したが、サンダースは「ヒラリー支持」を表明しなかった。

 そして16日の夜、サンダースは自分の支持者だけに向けてオンラインの生放送で語りかけた。(リンクを入手するためには、サンダースのサイトで申し込む必要がある)

 その内容は、9日にセンクや筆者が予想した通り、ヒラリー支持を発表するものではなく、「政治革命」を続けるという宣言だった。トランプ批判よりも、民主党が「労働者」と「若者」のための党に変わるように支持者が圧力をかけ続けることを奮起する部分のほうが長かった。そしてヒラリーについても、同意する部分が多いことを認めつつ、「著しく意見が食い違うアジェンダがある」ことを強調した。



 こういったサンダースに対し、オバマ大統領を含めた民主党の首脳陣は、サンダースに「ヒラリーを支持せよ」という直接のプレッシャーは与えていないと言われる。

 それは、サンダースの心境を思いやるだけでなく、彼の支持者に心の傷を癒やす時間を与えたいからだろう。

【参考記事】ヒラリー・クリントン、トランプに利用されかねない6つのスキャンダル

 以前から民主党員だった人や高齢層のサンダース支持者は、初めて政治に参加した若者とは異なり、何よりも「経済的正義」を重視している。サンダースの友人で元選挙参謀のハック・ガットマンは、サンダースにとって主要な問題は、「労働者階級の家族」のための政策と「経済的正義」であり、「戦争や公民権運動や同性愛者や女性の権利の問題であったことはない」とNPRの取材に答えている。銃規制やLGBTと女性の人権問題よりも「経済的正義」を優先している人たちは、「トランプが大統領になることだけは許してはならない」と、しぶしぶでもヒラリーに投票する可能性がある。

 民主党首脳部とヒラリー陣営があてにしているのは、このような層だ。

 一方、陰謀説を信じているサンダース支持者の多くは、ふだんなら投票所に行かない若者だ。だから、彼らを失うのは強い打撃ではないという見方もある。

 ヒラリーと民主党がなんとしてでも避けたいのは、陰謀説を信じるサンダース支持者を挑発してトランプに投票されてしまうことだ。だから民主党は、サンダースに無理難題を突きつけられても、それを無視できないでいる。

<ニューストピックス:【2016米大統領選】最新現地リポート>

≪筆者・渡辺由佳里氏の連載コラム「ベストセラーからアメリカを読む」≫

渡辺由佳里(エッセイスト)


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