ワンピース、キャプ翼、テトリス、辞書まで映画化!? 中国第3のバブルの実態
ニューズウィーク日本版 / 2016年6月21日 6時17分
中国の景気減速が伝えられているだけに、コンテンツ市場も急ブレーキがかかるのではとの不安もあるが、エンターテインメント業界の成長はむしろ今後本格化すると、柏口社長は期待を示した。「エンタメの急成長というのは、いわゆるバブルの少し後に来るんです。私は1991年にセガに入社したのでよくわかっています。外車や高級時計が買えなくなると、安い娯楽に流れていくんです」
しかし、巨大市場の成長という光の裏側には影も存在していると、柏口社長は警鐘を鳴らす。代表的な問題としてあげたのが以下の2例だ。
第一に、株価上昇を狙ったIP獲得。映画やゲームを作って稼ぐのではなく、IPという資産を獲得したという事実で自社株を上げることだけを目的にしている。そして第二に、みかじめ料目的のIP獲得。ゲーム化権を取得したことをたてに、すでにサービスを行っている海賊版ゲーム企業から利益の一部を取り立てることで稼いでいる。
これらのケースではIPを獲得しても映画やゲームが実際には制作されなかったり、あるいは低品質の作品が作られてしまうことが多い。日本企業にはまとまった額のミニマム・ギャランティ(最低保証使用料)が支払われるものの、高品質な作品によってIPの価値を上げることは期待できない。焼き畑農業的なモデルとなってしまう。
これまで中国企業はライセンス料不払いなど数々の問題を起こしてきた。日本のコンテンツホルダーの多くは、ミニマム・ギャランティさえ受け取れれば十分だとして、長期的なビジネスにしようとまでは考えていないという。「これでは急成長を続ける中国市場のポテンシャルを取り逃してしまいます」と柏口社長は危惧している。IPバブルの影響でミニマム・ギャランティの相場は高騰しているが、目先の金にとらわれず、信頼できる中国のパートナーと提携し、高品質のコンテンツで大ヒットを狙うという王道を目指して欲しいと訴えた。
中国政府もバブル過熱を懸念
ある中国アニメ業界関係者は「IPバブルは中国にとって最後の宴」だと話していた。製造業、不動産業と続いた投資ブームの第三の波、最後の機会がコンテンツ業界なのだ、と。このチャンスをつかもうと巨額のマネーが流れ込んでいるわけだが、すでにバブルは危険な水準に達しているとも危惧されている。
6月8日、中国証券監督管理委員会は動画配信企業・暴風集団による映画制作会社、ゲーム制作会社の買収案を不許可とした。IPの価値を過大に評価し、実際の利益や資産価値を大きく上回る買収価格を示したことが問題視された。
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