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本当にもう大丈夫? 改正されても謎が残る「風俗営業法」

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月5日 16時19分

 そうして、2015年に改正風俗営業法が可決・成立し、今年6月23日、ついに施行された。「客にダンスをさせるナイトクラブ営業」が、めでたく「風俗営業」から外れたのだ。店内の明るさが10ルクス以上(上映前後の映画館ぐらいの明るさ以上)など「特定遊興飲食店営業」としての条件を満たせば、クラブは合法でオールナイト営業も可能になった。



風営法のあいまいキーワード1「遊興」

 とはいえ、これで「めでたし、めでたし」とはいかず、新たな問題が浮上している。今回の改正で新たに設けられた「特定遊興飲食店営業」の「遊興」の定義があいまいだと言われているからだ。そのあいまいさは、「ダンス」の定義のあいまいさを確実に上回る。

 警察庁は、店側の積極的な働きかけで「客が遊び興じる」ことを、営利的・継続的に実施する飲食店営業を指すものとしている。バンドの生演奏やダンスショー、演芸などを客に披露する「鑑賞型の遊興」と、ダンスやカラオケ、ゲーム、スポーツ応援などができる場を客に提供する「参加型の遊興」の2カテゴリーに分類している。

 では、スポーツバーはどうなるのか。警察庁は、パブリックコメントにおいて「スポーツ等の映像を不特定の客に見せる深夜酒類提供飲食店営業のバー等において、平素は客に遊興をさせていないものの、特に人々の関心の高い試合等が行われるときに、反復継続の意思を持たずに短時間に限って深夜に客に遊興をさせたような場合」「1晩だけに限って行われる単発の催し」「繰り返し開催される催しであっても、6カ月以上に1回の割合で、1回につき1晩のみ開催される催し」は、「遊興」にあたらずOKだという基準を発表している。

 たとえば、サッカー・ワールドカップや野球のワールド・ベースボール・クラシックなどの日本代表戦が行われる日だけ、店側が観戦イベントとして演出し、試合を上映して応援させることはOKだが、オリンピックや世界選手権の試合などを日々継続的に上映して応援させることはNGなのか。NGだとしたら、いったいどこに問題があるのか。

 音楽ライブハウスや野外フェスなどで、飲食を提供する深夜営業を行う場合は、「特定遊興飲食店営業」の許可を取らなければならない。たとえ近隣に住宅地などがなく、騒音問題が発生しないとしても、「善良の風俗と正常な風俗環境の保持」を保てないからだ。

風営法のあいまいキーワード2「接待」

「風俗営業」の定義で、「遊興」の意味も不明確だが、もともと、「接待」の意味もボンヤリしていると、かねてより指摘されてきた。2条3項で「この法律において『接待』とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう」と定義されているが、いったい「歓楽的雰囲気を醸し出す方法」とは何なのか。

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