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ダッカ人質テロの背後にちらつくパキスタン情報機関の影

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月13日 16時10分



 事件の背景は、可能性としてこんな見方もできる。パキスタンのISIが、パキスタンにいるアルカイダまたは別のイスラム過激派組織を利用し、今回のテロを「イスラム国」の犯行に仕立てあげたのかもしれない。というのも、ダッカテロ直後に筆者が取材したあるパキスタン人政治評論家は、ダッカ人質テロの犯人らがパキスタン国内で2カ月ほど戦闘訓練を受けていたという話が出ていると語っていた。ISIやアルカイダなどがからんでいるとすると、その話も辻褄があう。「イスラム国」の旗の前でポーズをとって、テロを「イスラム国」の仕業にするのは簡単なことだ。最近バングラデシュをテロの重要拠点と位置付けている「イスラム国」が否定する理由はないし、バングラデシュを混乱させたいパキスタンも「イスラム国」の責任にしておくほうが好都合だ。

 ダッカ人質テロを、短絡的に「イスラム国」の犯行としてしまうと、事態の本質を見失う可能性がある。今後も、南西アジアの情勢を把握するうえで、この3カ国の動きには注意を払う必要がある。

【筆者】
山田敏弘
ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などで勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)で国際情勢の研究・取材活動に従事。訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)。

山田敏弘(ジャーナリスト)


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