中国全土で共感を得られる広告を作るには?
ニューズウィーク日本版 / 2016年7月13日 18時38分
<超大国・中国で広告業界に劇的な変化が起こりつつある。急成長するデジタルマーケティングで成功するにはどうすればいいか。地域で異なる消費者の好みの違いから、ネット動画ならではの特性まで、効果的な広告制作のヒントを提示する>
世界の広告業界が成長していく上で、依然としてもっとも大きな影響力を行使できるポジションにいるのが中国である。メディアプランニング会社のグループエムが2015年に発表した広告業界の将来予測によれば、中国本土のビジネスは、他のどの国や地域よりも世界の年間広告費用の増加に貢献するという。
しかし近年、この超大国における広告に劇的な変化がいくつか起こりつつある。中国経済における投資と消費のバランスが崩れてきているせいで、GDPの成長カーブがこれまでよりも緩やかになった。その影響により、ここ数年と比べてテレビCMの出広を抑える企業が増加傾向にある。その一方で、中国の国内企業が積極的に予算をつぎ込んだために、デジタルマーケティング(ITを用いたプロモーション)がかつてないほどに大きく伸びている。
いくつかのセクターでは、(旧来型の)広告の需要がまだ残っていることは確かだ。統計によれば、インターネット関連産業は広告にかける費用を大きく増やしている。なぜなら、150以上のアプリ開発企業が、製品を宣伝するのに広告に頼っているからだ。
伝説的な広告マンの一人であるデビッド・オグルビーがかつてこんなことを言っていた。「消費者が購入の是非を判断する基準は広告の中身である。それがどんな見た目の広告かは関係ない」。やはり今でも中身がいちばん大事なのだろうか。しかし、この"(インターネットで)つながりすぎている"時代にあっては、(中身よりも)とにかく「注意をひくこと」が最優先になるようにも思える。
【参考記事】行動経済学はマーケティングの「万能酸」になる
オンライン広告を見る時間は3秒だけ
平均的な中国人の消費者は、スマホやタブレット、PCなどの複数のデバイスをとっかえひっかえしており、とくにスマホに関しては、その使用がプライベートな時間の実に56%に上る。この数字は1日のうちテレビを見る時間の2倍である。これは、マーケットリサーチ会社、ミルウォード・ブラウンの2015年の調査で明らかになったデータだ。
また、同じくミルウォード・ブラウンが行ったアイトラッキングテスト(視線がどのように動くかを調べるテスト)では、普通の消費者がディスプレイ上のオンライン広告に視線を走らせるのはたったの3秒間であることもわかっている。これだけの時間でクリエイティブな広告の"中身"を消費者の心に焼きつけるのは、難しいと言わざるを得ない。
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