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ようやくヒラリーを受け入れ始めたサンダース支持者

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月14日 18時0分

 イベントではまず、環境問題を取り上げたノンフィクション『自然の終焉』の著者であるビル・マッキベンが壇上に立った。彼はサンダースの支持者で、アドバイザーでもある。マッキベンが、予備選でサンダースが達成したことを語り始めたとき、会場の一部に集まっていた熱心なサンダース支持者らの間に緊張が走った。この後にサンダースが敗北を認め、ヒラリー支持を明らかにする下準備であることが明らかになってきたからだ。

 その後、サンダース自身がスピーチに立ち、「今日ここに来たのは、なぜ私がヒラリー・クリントンを支持するのか、なぜ彼女が次期大統領になるべきなのか、それをできる限り明瞭にするためだ。(中略)クリントン国務長官は、民主党の指名を獲得したのであり、私はその健闘を祝う」と発表したときには、抱き合って涙ぐむ支持者の姿も見えた。サンダースのスピーチが終わるやいなや、前述のミシェルや周囲の情熱的なサンダース支持者たちは、ヒラリーの演説を待たずに会場を去った。

 野次やネガティブな反応は、もちろん誰もが予想していた。意外だったのは、それが予想したほどではなかったことだ。同じくニューハンプシャーで2月に開催された民主党のイベントとは比べものにならないほど温和な雰囲気だ。出席していたサンダース支持者たちの率直な言葉から浮かんでくるのは、ふだんメディアにはあらわれない大多数の支持者の心理だ。

 先の高校生ポールと母親のリサは、サンダースのことを親しい家族のように語るほど愛着を抱いているが、一部のサンダース支持者のように「サンダースが第三政党候補として出馬する」ことや「アメリカ緑の党のジル・スタインに投票する」ことには賛同できないと言う。「危険なトランプが大統領になる道を作る」からだ。ポールもリサも、積極的ではないけれど、トランプを阻止するためにヒラリーに投票すると言う。



党大会前の試金石となったニューハンプシャーのイベント(筆者撮影)

 ヒラリーはこの日のスピーチで、「最低賃金を1時間15ドルに引き上げる」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対」「公立大学の授業料無料化」「富裕層や企業への課税強化」「ウォール街の金融機関への規制強化」といったサンダースが主張してきた政策を高いプライオリティとして強調した。これはサンダースの活動の成果と言えるだろう。また、ヒラリー自身が公約していた政治資金改革についても、サンダースとその支持者を尊重する形であらためて公約した。

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