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ポケモンGOは大丈夫? 歩きスマホをやめたくなる5つの裁判例

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月21日 15時42分

 次の2件は、いずれも暗がりでライトすら付けていなかった事例である。はなから交通ルールを守る気がなかった人々に違いない。

●裁判例その4
 高校生が携帯電話を操作しながら、しかも夜間に無灯火で自転車を漕いでいたところ、歩道を歩いていた50代女性にぶつかった。事故後の女性は歩行困難の後遺症を負い、専門職(看護師)の仕事も辞めるしかなくなった。

→ 約5000万円の賠償命令〔横浜地方裁判所 2005年11月25日判決〕

●裁判例その5
 自転車に乗りながら携帯電話を操作し、夜間に無灯火で下り坂を走行していたところ、歩行者と衝突、転倒させてケガを負わせた。

→ 約570万円の賠償命令〔横浜地方裁判所2010年4月14日判決〕



 なお、自転車で交通事故を起こした場合には、警察に報告する義務がある。また、負傷者がいれば救護する義務があり、救護せずに立ち去れば「ひき逃げ」に該当するのも、自動車やバイクと同様である(道路交通法72条1項)。

 まもなく、「ポケモンGO」という大人気スマホゲームが日本にも上陸する見込みである。ゲーム世界と現実を重ね合わせた内容で、実際に街を移動しなければプレイできない。夢中になったプレイヤーが、つい「歩きスマホ」をしてしまう危険性と隣り合わせのゲームといえる。

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 前方をろくに見ず、予期せぬ動きで外を歩き回る、危なっかしいプレイヤーが続々と増えるのではないかと心配されている。まして、自転車やクルマを運転しながらプレイするのは、もってのほかだ。

 楽しいゲームに没頭しすぎた結果、現実がゲームオーバーに......なんてことにならないよう、常に周囲の状況を確認しながら遊んでいただきたいと、切に願うものである。

 歩行中や自転車運転中の事故は、個人賠償責任保険をもって、あるいは仕事中や通勤中の事故であれば会社の労災保険をもって、金銭面はまかなえる場合がある。これらの保険は、加害者自身に重大な過失があっても補償するのが基本だ。被害者から損害賠償を請求されたとして、たとえ事故当時に「歩きスマホ」や「チャリ漕ぎスマホ」をやっていたとしても、補償の対象にはなるのだろう。
(※個人賠償責任保険は、自身や家族の自動車保険やクレジットカード、自宅の火災保険などに、付帯や特約として付いている場合がある)

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