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インターネットで政治は変わる? 海賊党・欧州議会議員と考える「液体民主主義」の可能性

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月5日 17時20分

「インターネットで政治を変える」− そんな謳い文句が新書のタイトルに並ぶようになってから、どれくらいがすぎただろうか。ネット選挙やネットを活用した政治は、日本ではときに流行りの兆しを見せながらもいまいち本格的な運動にならない、そんな現象であり続けてきたように思う。

 いっぽうで、海を越えたヨーロッパでは、「インターネットをつかった政治のあたらしいあり方」がさまざまな形で実験されてきた。その代表的な例のひとつが、「海賊党」という新政党による「液体民主主義」というシステムだ。

 海賊党は2006年にスウェーデンで生まれ、「デジタルテクノロジーをつかって政治を変える」ことを標榜し、ヨーロッパじゅうに議席を獲得してきた、あたらしい政党だ。2016年現在、海賊党はアイスランドで与党を抑え支持率一位をとっており、次の選挙で初めて国政与党になることが期待されている。

【参考記事】パナマ文書に激怒するアイスランド国民の希望? アイスランド海賊党とは

 8月24日、そんな海賊党から選ばれた唯一の欧州議会議員、ジュリア・レダ議員をゲストに迎え、海賊党が生み出したあたらしい政治の仕組み「液体民主主義」をかんがえるパネルディスカッションがおこなわれた。現在レダ議員は欧州議会でEUの著作権法改正を担当しており、欧州議会から提出された著作権法改正提言レポート(レダ・レポート)の責任者でもある。

液体民主主義とは?

 そもそも液体民主主義とはなんなのだろうか?これは、2010年、ドイツ海賊党によって最初に提唱された、インターネットをつかった政治的意思決定のしくみだ。



 ギリシャのポリスでおこなわれていたような、共同体の構成員全員がすべてのイシューに直接投票して政策を決める「直接民主制」は話し合いや意思決定に時間がかかりすぎるし、イシューの答えがYES/NOに二極化してしまう。逆に、いまほとんどの民主主義国家で行われている、有権者が数年に一回選んだ代表者にすべての政策の意思決定を委任する「間接民主制」は、この複雑化した現代社会においては十分に市民の声を代弁し得ない。

 そのようなジレンマのなかで、直接民主制と間接民主制双方の長所を組み合わせてあらたな民主政治の形をつくろうとしたのが、液体民主主義のはじまりだった。

「液体民主主義」は間接民主制と直接民主制をデジタルテクノロジーによって止揚する試みだ (photo: CC0 1.0 Julia Reda)

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