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米国テック一強時代は終わり、米中二強時代が始まった

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月6日 17時20分




 中国のGDPの伸び率は下がったと言っても分母が巨大ゆえ年率6%台成長は中小規模国家一年分のGDPくらい毎年増えている。ゆえに短期的にR&D投資予算でも米国を超えるないしは少なくとも並ぶとみるのが妥当だろう。

 そうなれば「中国初のイノベーション」がこれからバンバン世界に出てくることとなる。既に出始めている。

 スパコンの世界ランキングでは2013年から4年連続でトップは中国である。パクリ技術だなんだと批評はあるが少なくとも自国産CPUを積んだマシンが世界最速である事は事実だ。また再生可能エネルギー分野ではその排出量、投資額ともに中国は世界一である。



 以上のとおり

1. ITスタートアップ投資金額

2. 未上場企業の企業規模

3. 上場インターネット企業の規模

4. 未来を決定づけるR&D投資

 この4点において中国が米国に比肩ないしは肉薄している事がデータで確認できた。

 「量が並んだからといって質もそうなるのか」、そういう議論は確かにある。しかし個々の経営者や技術者のクオリティを見てもシリアル起業家や理工系修士、アイビーリーグMBAホルダ等ワールドクラスの経営者がどんどん輩出されている。テンセントのポニー・マーやバイドゥのロビン・リーはコンピュータサイエンス出の起業家の代表であり、XiaomiやDianpingの創業者は米国NYSE上場や数百億円規模のエグジット経験を有する。

 技術はコモディティ化する、あるいは「社会的公共物化」して国をまたぐ。しかし人材リソースは物理的な場所に根差してエコシステムを形成する。そしてそれをめがけたファンディングリソース(VC資金)も同様である。中国が米国に並ぶテック二超大国となった事実は認識し、対応すべきである。


 最後にもう一つ、

 忘れてならない事。その中国はたったの6年前まで日本より小さかったという事。10年前にはBAT、つまりBaidu,Alibaba,Tencentの3社よりも日本のネット企業のほうがずっと大きかったという事。

 そして次にそういう存在になるのが、インドであるという事。あらゆる国際機関の予想で10年足らずで日本を経済規模で抜くと言われているが、既にテックエコシステムだけで言えば五分五分ないしはいくつかの指標では抜かれているという事。例えばインドのスタートアップ資金調達額は1兆円近いが日本は1千億円強しかない。インドのユニコーンは10社いるが日本は1社しかいない(これは東証マザーズという世界でも特殊なIPO市場があるという理由が大きいにせよである)。



[執筆者]
蛯原 健
リブライトパートナーズ代表
'94年 横浜国立大学 経済卒、日本合同ファイナンス(現JAFCO)に入社以来、20年以上にわたりベンチャーキャピタルおよびスタートアップ経営に携わる。'08年 リブライトパートナーズ株式会社を日本で設立しスタートアップ投資育成に携わり、2010年よりシンガポールに事業拠点を移し、東南アジアでのベンチャー投資を開始、また2014年にはインドに常設チームを設置し投資活動を始める。


蛯原 健(リブライトパートナーズ代表)


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