日中両国に利したG20と日中首脳会談
ニューズウィーク日本版 / 2016年9月7日 17時0分
だから安倍首相もまた、日中首脳会談後の内外記者会見で冒頭に「世界経済が新たな危機に陥るのを防ぐために、金融・財政・構造改革・過剰整備などに関して、あらゆる政策手段を活用し、伊勢志摩サミットにおける首脳宣言をG7先進国がリードする形で、G20新興国とも意識を共有することができた」(概略)と述べたのだろう。
ここでは安倍首相の伊勢志摩理論が正当化され、面目躍如といった形だ。
北朝鮮のミサイル発射に関しても
G20 杭州サミットが開催されているまっただ中の9月5日、北朝鮮は日本海に向けて弾道ミサイル3発を発射した。その目的の一つは、明らかにG20参加国が一致して北朝鮮を批難しているであろうことを予測して、それに対する抵抗であったことが考えられる。となれば、G20議長国である中国と、それを晴れ舞台としている習主席に著しい侮辱を与えたことになる。
G20の会議中、安倍首相は北朝鮮の行動を激しく批判する発言をしたが、それはある意味、習主席を擁護したことにもつながると、中国側には解釈できる。
そんなこんなで、安倍首相はG20にさまざまな貢献をしたことになるのである。
さらにG20の場では、習出席が最も言ってほしくなかった(言われることを恐れていた)南シナ海の問題を、安倍首相は口にしなかった。 それもまた習主席の救いになったはずだ。
ようやく実現した日中首脳会談
それでもなお、日中会談の時間帯および所要時間に関して、ギリギリまで交渉が続いていた。結局、5日閉幕後に習主席が内外記者向けに行った総括スピーチの後に回されてしまった。
日本側は45分間の時間を要求したが、中国側は20分で十分だとし、結果、32分間の会談が行われた。これは、
第一回目の日中首脳会談(2014年11月、北京):25分間
第二回日中首脳会談(2915年4月、ジャカルタ):25分間
に比べれば、少し長くなっており、力関係において日本がやや優ってきたことを示していると言えようか。それはG20における安倍首相の言動を評価したためとみなしていいだろう。
ただし、5日に行われた中韓首脳会談と中英首脳会談には両国の国旗があるが、日中首脳会談にだけは、「相変わらず!」両国の国旗がないことは注目に値する。
そのことは中国大陸のネットユーザーの注意をも引いたらしく、このブログに3か国の比較が出ているし、こちらにも比較があるので、ご覧いただきたい。後者は文末にある「下一頁(次のページ)」をクリックしてめくっていくと、多くの画像が比較として載っている。
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