子供がスマホを壊しても、合理的に考えない方がいい
ニューズウィーク日本版 / 2016年9月19日 7時57分
<経済学的な考え方のひとつに埋没コスト(サンクコスト)があるが、子供の教育を考えた場合「経済的合理性がすべてではない」と、『共働き夫婦のためのお金持ちの教科書』著者の加谷珪一氏。経済的に独立した存在でない子供に対しては、ものの大切さを教える方が重要だという>
日本で共働き世帯は増加傾向にある。若い女性の専業主婦志向がメディアで取り沙汰されたりもするが、現実には、結婚したカップルの半数以上が共働き夫婦となる。それも「生活のために...」といった、お金にまつわる消極的な理由を挙げる人が少なくない。
だが、共働きはむしろ「お金を稼ぐのに有利」だと、ポジティブに捉えるべきではないだろうか。本誌ウェブコラム「経済ニュースの文脈を読む」でお馴染みの評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏によれば、夫も妻も「富を生み出す資産」であり、夫婦とはいわば「ポートフォリオ(資産の組み合わせ)」なのだ。
加谷氏は新刊『30年後もお金に困らない! 共働き夫婦のためのお金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)で、夫婦という資産が生み出す収益を最大化するためには、合理的に振る舞うことが大切だと指摘。マイホームから、貯蓄と投資、保険、子どもの教育費、親の介護と相続まで、共働き夫婦の「収益性」を上げるのに役立つ57の基礎知識を伝授している。
「夫+妻+夫婦」という3つの財布を持つことを推奨する本書から一部を抜粋し、5回に分けて掲載する。第5回は「No.51 子供がスマホを壊したら」から。
『30年後もお金に困らない!
共働き夫婦のためのお金持ちの教科書』
加谷珪一 著
CCCメディアハウス
※第1回:共働きも、お金持ちになりたければ住む場所を選べ
※第2回:子供の学校の集まりにのめり込むのは経済的にムダ
※第3回:嫁ブロックを突破できない人は起業家の才能ゼロ
※第4回:なぜ投資の初心者が高度なFXをやりがたるのか
◇ ◇ ◇
●お金持ちになれる人 → 高くても修理して使わせる●お金に縁がない人 → 新機種を買った方が合理的なので、新しく買い与える
経済学的な考え方のひとつに、埋没コスト(サンクコスト)というものがあります。埋没コストとは、すでに支出してしまっており、取り返すことのできない費用のことです。
例えばチケットを購入して見に行った映画が、非常につまらないということがあります。映画を見続けるべきか、見ることをやめるのかという選択を迫られることになるわけです。この場合、チケット代が埋没コストに相当します。これは映画を見続けても、退席しても、取り返すことができない費用だからです。合理的に考えれば、退出して残りの時間を有効に使う方がよいのですが、合理的に考えられないと、チケット代の元を取らなければ、といった観点で時間を浪費してしまうのです。
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