シモン・ペレスが中東に遺した「楽観主義」
ニューズウィーク日本版 / 2016年9月30日 17時40分
ペレスは2度首相を務めたが、どちらも選挙で選ばれたわけではなかった。イスラエルで最も愛され輝いたのは、名誉職的な国家元首である大統領の任期中だった。それでもハレヴィは、ペレスがイスラエル人の心理に与えた象徴的な価値は、計り知れないと言った。
「彼はイスラエルの祖父のような存在になった。皆に愛された政治家というわけではなかったし、選挙に勝ったこともない。それでも彼は、イスラエルが建国当時の楽観主義を失いかけていた時代に、建国者の世代の代表として力を尽くした」
ペレス死後のイスラエルで、政治的な状況が一気に変わるとは考えにくい。だがハレヴィは、イスラエル国民の近隣諸国に対する見方や、今までどうしても成し遂げられなかった共存という使命に向けて努力する機運には、変化があると期待している。
「自分の生活や国の未来に関する話になると、もともとイスラエル人は非常に楽観的だ。ところがパレスチナ人との関係に限っては、ひどく悲観的になる。我々の楽観主義は選り好みをすべきでないというペレスの言葉は、本当に最も大きな説得力をもって人々の心に届いた。最も差し迫った、長い年月を経ても解決できなかった問題にこそ、楽観主義で臨むべきだ。それこそが、ペレスがイスラエルに残してくれた大切なメッセージだ」
From Foreign Policy Magazine
デブラ・カミン
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