選挙ボランティアから見える、大統領選「地上戦」の現状
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月6日 17時30分
■11月の選挙では、投票するかどうか、そして、投票する場合の意向についてたずねる。まずは大統領、次に上院議員、知事、下院議員。
■自分の意見を言わず、相手が話したいことを話させる。耳を傾けることが重要。
■決断を迷っている人がいて、話を聞いてくれそうな態度であれば、ヒラリーの政策などについて語る。
■相手の意見を決して否定してはならない。「共和党に決めている」など、門前払いの態度の人がいたら、相手の心を変えようとせず、「お時間ありがとうございました」と丁重に礼を言って去る。
■候補を代表しているということを忘れず、礼儀正しくふるまう。
「キャンバシング」でトランプ支持者の家を訪問する筆者
その後、キャンペーン事務所からファイルを手渡された。そこには、有権者の住所・氏名・年齢、登録政党(民主党、共和党、無所属)が載っている。ボランティアはペアを組んで、それらの有権者を訪問し、話した結果を記録し、後で事務所に報告する。
筆者の相棒となったチャックは、マサチューセッツ州に住む50代の白人男性で、2008年と2012年にはオバマのボランティアとして活動し、今年はクリントンのために初期からキャンバシングをしている。予備選でサンダース候補に投票した彼は、それを後悔していると告白した。「バーニー(サンダース)とその支持者による、ヒラリー(クリントン)への攻撃は不公平なものが多かった。それでヒラリーのイメージはすっかりダメージを受けてしまった。キャンバシングでは、その悪影響を強く感じる」と話していた。
この日に筆者らが訪問したポーツマス市があるロッキングハム郡は、中間層の浮動票が多く、2000年にブッシュ大統領が勝った場所だ。多くの有権者は、予備選でどちらの党にも投票できるように、「無所属」として有権者登録をしている。しかしポーツマス市街地は都市部なので7割弱の住民が民主党寄りだ。そのせいか、戸別訪問に顔をこわばらせる人も若干はいるが、大部分は暖かい対応をしてくれた。
4時間で訪問できただけの小さなサンプルでしかないが、直接訪問することで、次のような傾向を肌で感じることができた。
【参考記事】討論初戦はヒラリー圧勝、それでも読めない現状不満層の動向
■応対した人の大半がクリントン支持(窓から民主党のボランティアとわかって出てこなかった人がいる可能性はある)。クリントンの積極的な支持者もいれば、「ほかに選択がないから」というアンチトランプ票もあった。
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