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苦境にある台湾メーカーの未来を「台湾エクセレンス」に見た

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月17日 19時19分

 また中国への依存は政治リスクにもつながる。実際、今春の蔡英文政権発足以来、政府間・企業間・研究者間の交流が制限されるなど、政治的変化がダイレクトに経済関係に悪影響を及ぼしている。こうしたなかで、中国以外の市場を開拓する重要性が再認識されている。

【参考記事】台湾ではもう「反中か親中か」は意味がない

 この変革が成功するかどうかはまだ未知数だ。OEMからオリジナルブランドへという流れにせよ、中国以外の市場開拓という方針にせよ、決して目新しいものではない。例えば蔡英文政権の東南アジア重視政策は「新南向政策」と名付けられている。陳水扁総統時代の"旧"南向政策の焼き直しというわけだ。新味がないと言ってしまえばそれまでだが、一発逆転ホームランを約束した馬英九前政権と違って、蔡英文政権は空手形を切らずに着実な政策を選択したとも言える。困難な目標だが、台湾エクセレンス in 東京で展示された魅力的な製品の数々は台湾の未来を変えることができるのだろうか。

[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。


高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)


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