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成長するには「失敗」に必要以上の注意を向けないこと

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月19日 16時30分

 自分に対する批判は厳しく極端になりやすいため、多くの物事が、全面的な成功か屈辱的な失敗かの観点から判断されてしまう。だが、それでは人は学ぶことができない。私たちは、毎日自分に向かって「よくできた、完璧だ」と自画自賛することによって成長するのではない。失敗によって成長するのだ。自分の失敗を許すには、ある程度のリスク、確信のなさ、弱さを受け入れる必要がある。

「失敗を糧に前進する」という考え方は、十分に反省すれば、次の段階に進んでもいいと励ましてくれる点で有益だ。何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを見つめ直すのだ。客観的な目で、もっとうまくできたかもしれないことを検討する。だが、反省のプロセスで立ち止まってしまってはいけない。過去はさまざまなことを教えてくれるが、いとも簡単に抜け出せなくなってしまう。



振り返るのは短時間で切りあげる

 レジリエンスを身につけるには、自分が失敗だと考えていることに向き合わなければいけないが、必要以上の注意を向けてはならない。失敗について考え直すとは、健全な反省が自責の念に変わるポイントを認識する行為だ。どこで反省が自己非難に変わるのかを見極めよう。だが一度だけ、それも短時間で切りあげよう。その場に立ち会っていた人がつき合ってくれれば理想的だ。そして、もし同じ状況に陥ったら今度はどうするかを3つだけ書く。実行できないことを延々とリストアップしても意味がない。

 次に仕事で失敗したときも、その状況を見つめ直そう。自分を非難する感情は無視する。もっと入念に準備しようと思えばできたのは当然だ。だが成功した場合も、それは同じだ。なぜ目的を達成できなかったのか、何を改善できるのか、次はどんなアプローチを試すべきか。少し時間をとって、それらを手早く書き留めよう。そして、また前進しよう。

【参考記事】能力が低いから昇進できない、という人はめったにいない

自分が変えられることに意識を集中する

 過去の行動を見つめ直すときは、失敗を糧に前進することに常に意識を集中してほしい。自分が変えられることは何かという観点だけで出来事を見つめ直すのだ。会議がうまくいかず、誰かを怒らせてしまったなら、できることはたくさんある。反対に、失敗して後退するとは、過去の選択と行動に執着することだ。過去に執着すると客観的になるのは難しいし、どれほど執着しようが、過去から現在に意識を切り替えるべきときはくる。

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