管理職が陥る「自分なんて大したことない」症候群
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月20日 16時24分
【参考記事】能力が低いから昇進できない、という人はめったにいない
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インポスター症候群について明らかにされていることがある。私たちは、自分の組織の上層部の人間はインポスター症候群になどかからないと思い込んでいるという。確かに、この症候群について信頼できる友人以外に打ち明けられることはめったになく、それ以外の人の目には、自信に満ちて揺るぎない上司の姿しか見えないので、上級幹部がこの症候群にかかったとしても私たちが気づくことはありえないだろう。
とすると、2つの世界が共存していることになる。一方の世界では、私たちが上級幹部を見上げるとき、自信に満ちて明確に指示する姿しか見てとれないが、同時に存在する現実の世界では、同じ人物が「自分は詐欺師だ」、今にそのことが「ばれる」と感じている。これを知れば、あなたが自分の状況を考え直すうえで役に立つのではないだろうか。キャリアが完全に軌道に乗っているように見える人の多くが、実は往々にして、自分には提供する価値のあるスキルなどないと思って悩んでいることを知るのはおおいに意味がある。
過去の証拠を掘り起こす
自分には有用なスキルなどほとんどないという考えにとらわれてしまった人が自分の達成した成果を発見するのは非常に難しい。記憶の問題ではなく、単に自分の過去と認識との間に心が大きなフィルターをかけてしまっているからだ。しかるべき材料に基づいて、強制的に自分像を構築する必要がある。これは詐欺ではない。過去の宝をもとにして自分自身を描き出すのである。以下の方法を試してみてほしい。
①仕事の記録、日記、プロジェクトの概要を探し出して、自分がどのように貢献したかについて記憶を新たにする。
②宣誓供述書や推薦書、とりわけ自分の働きを喜んでくれた人からの言葉を探し出す
(あるいは作成を依頼する)。
③新たな職務経歴書を作成する。自分が達成した成果の証拠を積みあげる際に取捨選択をしないこと。
④自分をよく知る友人に読んでもらい、追加すべき内容がないかを聞き、自分の優れたところを(はっきりと)思い出させてもらう。
※シリーズ第4回:職場のあらゆる不幸の中心にあるのは「難しい人間関係」
『何があっても打たれ強い自分をつくる
逆境力の秘密50』
ジョン・リーズ 著
関根光宏 訳
CCCメディアハウス
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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