【対談(前編):冷泉彰彦×渡辺由佳里】トランプ現象を煽ったメディアの罪とアメリカの未来
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月24日 15時0分
【渡辺】これまでの選挙では、いわゆる「浮動票」は中道だった。しかし今年の選挙では二大政党に属さない人も、極端に右か左にシフトしたと言われている。オバマの8年で、暮らしが良くならなかったと悲観的に感じた人々は、「中道ではダメだ」と判断したということだろう。実際には8年前に比べて景気は良くなっているし、失業率も低下しているのだが。共和党が牛耳る議会が、異常とも言える妨害を行い、オバマ政権が実績をアピールできなかったのはつらいところだ。
【冷泉】オバマの政策は、理念的には左だが現実の政策は中道。それはリーマン・ショック以降の不況から景気を回復させ、そしてイラクとアフガニスタンの戦争の「後始末」も必要だったから。前回と前々回(08年と12年)の大統領選では、それでも有権者はオバマの理念に対して投票した。しかし今回、有権者があらためてヒラリーの「中道実務主義=リアリズム」を信任するかどうか――ヒラリーにとっては非常に厳しい選挙になった。
(後編に続く)
<ニューストピックス:決戦 2016米大統領選>
<ニューストピックス:【2016米大統領選】最新現地リポート>
≪冷泉彰彦氏の連載コラム「プリンストン発 日本/アメリカ新時代」≫
≪渡辺由佳里氏の連載コラム「ベストセラーからアメリカを読む」≫
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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