男性社会の日本に訪れた女性たちの季節
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月25日 10時30分
Masterpress/GETTY IMAGES
ところがOECDによれば、第1子出産後も仕事を続ける日本の女性は38%止まり。母親が家で子育てを担うことを求める社会的重圧が強いことと、保育所の不足が大きな原因だ。
この問題は、日本社会がアウトサイダーの受け入れに消極的なこととも関係している。人件費の高い日本では、多くの家庭にとってベビーシッターは手が出ない。日本が一部の地域で、低賃金の保育サービスの担い手にもなるフィリピン人家事労働者の派遣事業を解禁したのは、最近になってからだ。
双子を育てながら、政治家としてのキャリアの階段を上ってきた蓮舫は、ほとんどの日本女性にとって真のロールモデルというより、夢物語の中のまぶしい存在でしかない。
それでも、日本社会に(ささやかとはいえ)真の変化が訪れたことは確かだ。「失われた20年」に、日本は静かな成熟を遂げた。高度経済成長時代の傲慢さを脱却し、グローバルな感覚を強め、人種的多様性をより受け入れ、家父長主義的価値観に縛られなくなったのだ。
【参考記事】性別と家事分担の根深い刷り込み
日本はよりよく、よりかっこよく、より寛容な、そしてより自信に満ちた国になったように見える。80年代には虚勢を張ることによって、外の世界に対する深い不安を覆い隠していた。当時はハーフは過剰にもてはやされるか、陰湿ないじめに遭うかのどちらかだったが、最近はかなり普通の日本人として扱われるようになった。
国籍をめぐる問題が蓮舫の民進党代表選で命取りにならなかった背景には、こうした社会の変化もあるのだろう。共同通信の世論調査によると、約3分の2の人が蓮舫の国籍問題を「問題ではない」と答えている。
日本人の大多数は今も移民の受け入れに不安を抱いているが、容認論も強まりつつあるようだ。WINとギャラップの共同世論調査では、移民労働者の受け入れを良いと考える人は22%で、悪いと考える15%を上回っている(分からない、もしくは答えたくないとの回答は63%)。
日本が世界を驚かす日
「社会に劇的な変化が起きている」と、政治学者の中野晃一はフォーリン・ポリシー誌に語っている。女性や外国系日本人に対する否定的な態度は「だいぶ鳴りを潜めた」という。
法務省によると、在留外国人の数は昨年、過去最多の223万人に達した。日本の人口1億2700万人のわずか1.8%だが、20年前に比べれば72%も増えている。
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