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部下の話を聞かない人は本当のリーダーではない

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月28日 6時22分

ある日、学校で六歳の少年がパンツを濡らしてしまいました(中略)廊下で突っ立ったまま途方に暮れている少年を見て、カールは少年が困っていると察知し、担任の先生を探しに行きました。カールは担任の先生と一緒に少年を別室に連れて行き、体を拭くのを手伝い、着替えを探してきて、少年をなだめました。その後、少年を教室に送り届けました。二人の目標は、少年がパンツを濡らしたことをクラスメートに気づかれないこと、そして少年が恥をかかずに下校できるようにすることでした。少年が教室に戻ると、カールは通常の業務に戻ってゴミを拾い、床を掃除しました。(p.64~65より)

 カプランは、これこそがリーダーシップだと書いている。カールはその学校で働く人たちのなかで、おそらく一番地位の低い人かもしれない。だが彼は経営者のように考えて行動した。途方に暮れる少年を見ても、子どもの面倒を見るのは自分の仕事ではないと、無視することもできた。しかし彼は立ち止まって、自分が何とかしなければと考え、少年と学校にとって最善だと思うことを実行した。



唯我独尊タイプのリーダーは潰れやすい

 経営者マインドに欠かせなのは、広い視野を持つことだ。「それは私の仕事じゃない」「私にはそんな権限はない」といった考え方では、いつまでたってもリーダーシップは発揮できないし、実際にリーダーの地位に立つこともできない。

 平社員でも中間管理職でも、普段から経営者の立場で考えて行動するよう意識していれば、視野が広くなり、洞察力や決断力も向上する。「優れたプロフェッショナルは自分で仕事の範囲を狭めない。数レベル上の立場でものを考えるのだ」と、カプランは強調する。日頃から、そうした心構えで仕事に臨んでいる人は、上司から抜擢されて昇進の機会も得やすい。

 経営者になったつもりで考えて行動する──。なんだ簡単じゃないか、誰にでもできると思うだろう。だが世の中にはリーダーシップを発揮できない人は大勢いるし、リーダーとして失格の烙印を押されている人も少なくない。

 なぜか? 問題に直面したときに自分の弱みをさらけ出すことができず、孤立を深めているからだとカプランは指摘する。彼によれば、リーダーリップとは結局のところ、「団体競技」。リーダーは周りの協力なしにチームの成功はないことを悟らなければならない。自分の力だけではリーダーになることも、リーダーシップを伸ばすことも難しいのだ。

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