ヤクザになった理由を7人の元暴力団員に聞くと...
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月28日 12時13分
彼らは社会権すら制限されており、だからといって暴力団員歴を隠して履歴書に記載しないと、虚偽記載となる可能性があるというのである。
当然のことながら、この時点で出てくるのは「暴力団員だったのだから、それは自業自得だ」というような意見だろう。しかし彼らがどんな人生を歩んできたにせよ、日本国憲法の下では、誰しもが平等に生きていく権利を持っている。また家族がいた場合は、彼らの生存にすら関わってくる問題でもある。
だから暴力団離脱者が、「生きられない」という状況に陥ったとき、彼らは生きるため、非合法に稼ぐという手段を選ぶしかなくなる。しかも組織に属していたときには「掟」という鎖があったものの、離脱者は掟に縛られる必要もない。となれば、「金になることならなんでもやる」という方向に進んでしまうのはある意味で当然であり、かくして正真正銘のアウトローが誕生してしまうのである。
たとえば、覚せい剤を暴力団組員が扱うと、表向きは組織の掟破りということで処罰を受けます(実際は黙認していたとしても、組員が警察に検挙されたりすると、破門などの処分を受けます)。しかし、暴力団を辞めた人が覚せい剤をシノギにすることには、何の不都合もありません。さらに言うと、彼らが未成年に覚せい剤を販売しても、何の咎めも受けません。(24~25ページより)
【参考記事】出会い系サイトから危険ドラッグまで、グレーなビジネスで荒稼ぎする人たち
だからこそ、「悪いから排除する」というだけで済ませるのではなく、我々ひとりひとりが暴力団問題を考えなければならないと著者はいうのである。そのうえで、読者に向けて「なぜ人はグレるのでしょうか?」という問題提起をする。それこそが、本書の執筆意図だ。新たな暴力団加入者を増やさないため、「現時点で我々ができること」を探ろうという思いがあるのである。
そしてそれが、本書のオリジナリティへとつながっていく。すなわち、暴力団員(だった人)と家庭との関係性だ。アウトローたる暴力団員に、そもそも家庭的な影は薄い。しかし、「彼らが暴力団員になった理由」の多くが、実は育った家庭環境に起因しているというのである。
暴力団に加入する子どもたちの家庭は、彼らを放置し、教育を与えず、芸術を鑑賞する機会を与えず、場当たり的な躾を行う社会であるといえます。こうしてみると、家庭が子どもに「した」ことより、「しなかった」ことの方が多いかもしれません。(54ページより)
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