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台湾の国民党は中国共産党に降伏宣言をするのか?――洪秀柱・習近平党首会談

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月1日 11時0分

 一方、国民党の馬英九政権時代には「92コンセンサス」を積極的に支持して、2015年11月7日にはついに習近平国家主席と当時の馬英九総統がシンガポールで中台トップ会談を行なうなど、分断以来、最接近の事態さえ起きた。それは人気がなくなった国民党政権が、大陸との経済交流を望む経済界を国民党側に惹きつけようと、総統選挙に備えての下準備でもあった。

 民進党の蔡英文政権が誕生する前の総統選期間中、国民党の立候補者として総統戦に挑んでいた洪秀柱氏は、経済界の人々の票を呼び込むため、「中国大陸と和平協定を結ぶ」という過激な発言までした。それは「国民党が(中国)共産党に降伏宣言をする」のに等しので、台湾国民の激しい反発を買い、国民党内にさえ反対意見を表明する者が現れた。

 このままでは総統選において民進党に敗北することを恐れた国民党は、朱立倫氏を主席に選んで選挙を乗り切ろうとしたが、総統選(2016年1月)で大敗。朱立倫氏は責任を取って辞任し、2016年3月28日に洪秀柱氏が国民党主席に選ばれたのだった。

 こうして2016年5月20日に、民進党の蔡英文政権が誕生したのである。

 すると、巻き返しを図ろうとする国民党の洪秀柱主席は、蔡英文政権誕生後に冷え込んでしまった両岸(中台)経済関係に不満を抱く経済界を味方につけ、蔡英文総統との差別化を鮮明にしようと、親中路線をいっそう強化しようとし始めた。

 今年9月4日、台湾の国民党第19回党大会(全国代表大会)第4次全体会議は、党綱領に「積極的に和平協議を討議することによって、両岸の敵対状態を終わらせる可能性」という文言を新たに入れることを決議したのである。総統選のときには、「和平協議」を唱えたために立候補者から降ろされたのに、党主席に選ばれると、その力を利用して、結局「中国共産党との和議」の方向に動いたわけだ。



 ちなみに、中国共産党の党大会と全体会議は、すべて国民党の政治制度に倣(なら)ったものである。国民党は1919年に誕生し(孫文が中華革命党を改組して結党)、中国共産党は1921年に誕生している。そのため、「党大会(全国代表大会)」とか「(中央委員会)第○次全体会議」などの呼称が、国民党と共産党との間で対応しているのである。中国共産党が来年ようやく第19回党大会を迎えるのは、建党が2年ほど遅いからだ。

 さて、国民党第19回党大会・第4次全体会議で党綱領に「和平協議」という文言を書き入れることに成功した洪秀柱主席は、「和議協議」という党綱領を持つ党の主席として、中国共産党の習近平総書記と、「党首会談」を行なう決意をすることによって、「和議協議」実現の方向に一歩、踏み出したことになる。

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