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「退役軍人がデモ」も「愛人に手紙」のように誤読の可能性あり

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月1日 11時19分

 いや、問題は食い詰め者だけではない。デモを起こさなければ政府は満足だろうが、元軍人を押し付けられた地方政府や国有企業は災難である。ろくに仕事もせず、朝から晩まで新聞を読んでいたり、ゲームで遊んでいたりというやる気のない新職員がやってくるのだから。しかも軍と同レベルの待遇が約束されているので管理職の肩書きまで持っている。

【参考記事】汚職の次は「さぼり」を取り締まり始めた中国

 中国政府はさまざまな改革を実施し、経済成長を実現してきた。あっぱれといいたいところだが、その裏側には食い詰め者だったりゲームの達人だったりが大量生産されている。軍人だけではない。昨秋には一人っ子政策が廃止され全面的な第二子出産が認可されたが、一人っ子政策関連の公務員は全国に50万人以上。農村レベルの末端構成員まで含めると200万人近い人間が関与していた。今後、彼らをどのように処遇するのか、政府にとっては悩ましい問題だ。

【参考記事】知られざる「一人っ子政策」残酷物語

 着々と改革を進める点ではたいしたものだが、その結果として生じる食い詰め者の処遇は容易ではない。

 さて、本稿では強制土地収用に退役軍人デモ、同じ漢字文化圏だけについついわかったような気になるが、実は日本語とは"ずれ"のある事象について紹介した。こうしたなんとなくわかりそうでわからない話、その機微について今後もお伝えしていきたい。

[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。


高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)


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